「自分の発言で何かを変えようとは思わない」それでも秋元才加が社会問題を発信する理由
2013年にAKB48を卒業後、俳優・タレントとして数多くの映画やドラマに出演している秋元才加さん。海外でも活躍する秋元さんは「日本と海外では社会問題への考え方に違いがある」と話す。幼い頃から自身の意見を発言することが当たり前の環境で育った秋元さんに、社会問題に対して発言することやSNSとの向き合い方について聞いた。(聞き手:荻上チキ/TBSラジオ/Yahoo!ニュース Voice)
「選挙に行こう」とPRするのに「政治について考えよう」と言わないことに違和感
――芸能人が政治や社会問題について発信することは日本では珍しいですが、秋元さんが発言しようと思ったきっかけはなんだったのでしょうか? 秋元才加:もともと発言していなかった訳ではありませんが、コロナやオリパラが日本で開催されるか否かなど、ここ数年で色々と考える機会が多くなった事もあります。また、海外で仕事をするようになって、日本の俳優と海外の俳優では社会問題への考え方や取り組みに違いがあると感じたこともきっかけの一つになりました。 仕事でカナダにいるとき、ちょうど現地で選挙が行われていました。メイクさんがメイク中に「私は誰に投票する」とか「あそこの政党は好きじゃない」とか、とてもカジュアルに話している姿が印象的でした。そんな姿を見て「自分たちの生活に直結する政治の話題を避けて通るのは難しいのではないか」と思ったんです。 日本での芸能活動においても、アーティストとして“自分”がないといけないんだなと感じました。それからは、お芝居の技術だけでなく日常生活から自分なりに考えていくことを大切にするようになりましたね。 AKB48に在籍していたときに「みんな選挙に行こう!」とプロモーション活動をしたことがあったのですが、「政治について考えようとまで言わないのはどうなんだろう」という葛藤もありました。ただ、アイドル時代は、スポンサーさんなどもいて一人だけの問題ではないので、当たり障りのない発言をした方が良いのかもしれないというマインドになっていたと思います。「アイドルは政治的な話題に触れないでほしい」と思っている人も多いので。 もともと、母や祖母がきちんと自分の意見を言う姿を見て育ったので、昔からそういう女性がかっこいいと思っていました。でも一方で、アイドルだった当時は、年齢を重ねていく度に、自分のなりたい女性像とかけ離れていくところがあった。だから、このままいくとメンバーや周りの迷惑にもなると思い、卒業を決意したんです。 なので、25歳でAKB48を卒業してから、一人の女性、一人の人間として活動していくうえで、政治や社会についての発言をすることは自然な流れだったと思います。もちろん、仕事が来なくなるんじゃないかと考えた時期もありましたが、来るか来ないかわからないものを待ち続けるのではなく、アイドルを経て、コロナで時代も感じ方も変わったからこそ、一人の俳優として私らしく活動できたらいいなと考えるようになりました。