宇多田ヒカルのLIVEツアー衣装デザインの舞台裏【A-POC ABLE ISSEY MIYAKE × Spiber】
A-POC ABLEにSpiberからのオファーが届いたのは2024年4月ごろ。7月から始まる全国ツアーに間に合わせるためには短期間で衣装の完成が必要というスケジュールだった。いままでミュージシャンへのオリジナル衣装提供がないA-POC ABLEにとって大きな挑戦だったが、「参画は迷わなかった」と宮前さんは語る。 「制作期間は限られていましたが、パリコレクションのように短期間のスケジュールはチームで経験していましたから、大きな不安はありませんでした。何より、以前からSpiber社代表の関山さんの理念やビジョンに強く共感していたので、このプロジェクトにお声がけいただいたことはとても光栄なことでした」
Spiberには、バイオテクノロジーを通して実現したい世界がある。 「代表の関山も企業の理念、ミッションとしてよく話していますが、私たちはタンパク質素材の開発、生産、そして普及という事業を通して、平和な世界に貢献したいと考えています。戦争や紛争は多くの場合、資源の奪い合いによって起こります。ならば石油や動物・植物資源に頼った生産から脱却し、安定的に材料を生産できれば、人類の危機の回避に貢献ができるかもしれない。これまで先人たちが培ってきた技術や知見も活用させていただきながら、未来の人たちにバトンをつなぐつもりで、開発を続けています」(浅井さん) 「私たちはその関山さんの考えや取り組みにずっと共感してきましたが、昨年ぐらいから徐々にBrewed Protein™の生産量が増え、A-POC ABLEでもいよいよ製品化できる環境が整ってきたところで、今回の宇多田ヒカルさんの衣装のお話をいただきました」(宮前さん) こうして「HIKARU UTADA SCIENCE FICTION TOUR 2024」の衣装制作がスタートした。A-POC ABLEのチームは、いままで扱ったことのない「未知の糸」に立ち向かうことになる。