ホンダ初の本格ミニバン 1990年代のホンダ復活の決定打は初代オデッセイではなく初代ステップワゴンだった
走って楽しい新しい世界
初代ステップワゴンはホンダを救うヒットモデルとなったが、走りのよさも無視できない要素だ。これは歴代ステップワゴンに踏襲されるコンセプトで、ライバルのセレナ、ノア/ヴォクシーに対しても軽快なハンドリングが魅力となっている。初代ステップワゴンは、2L、直4DOHCエンジンを搭載。最高出力は125ps、最大トルクは18.5kgmと特筆するようなスペックはないが、ホンダエンジン特有のスムーズで軽い吹け上がりなど、エンジンフィールの気持ちよさが走りの軽快感にも大きく影響している。 長年スポーツカーなどに乗ってきた走り好きにとって、「家族のためにミニバンに乗る」ことは「走りから足を洗う」というカーライフの墓場的な意味にとらえられがちだったが、走って楽しいステップワゴンが新たな世界を提供してくれたのだ。
5人乗り仕様と8人乗り仕様を設定
当時のミニバンといえばシートアレンジ。シートアレンジのバリエーションの多さを競ったものだ。それは初代ステップワゴンも同じ。フルフラット、ウォークスルー、助手席の回転対座などなど、現代のミニバン以上の多機能シートがウリだった。フルフラットなど買ってから何度かしかやったことなくても、フルフラットになることが重要だった。 ステップワゴンには2列シート5人乗り仕様(2-3)と3列シート8人乗り(2-3-3)を設定していた。販売のほとんどは8人乗りだったが、3列目シートが不要でワゴン的に使う人、商用車的に荷物を大量に積みたい人にとって5人乗り仕様は重宝した。ただし、3列目シートは跳ね上げ式収納だったため、たためば自転車を搭載できるだけのスペースを確保することができた。
フィールドデッキも用意
初代ステップワゴンは特別仕様車が数多く設定され人気となっていたのも特徴だ。なかでも変わり種はフィールドデッキ。マツダボンゴフレンディがポップアップルーフを採用して話題になっていたが、フィールドデッキもFRP製のルーフ上に居住スペースを設けたモデルでホンダ純正の特装車だった。販売はそれほど多くなかったが、キャンパーや当時は少数派だった車中泊好きには根強い人気を誇った。