ホンダ初の本格ミニバン 1990年代のホンダ復活の決定打は初代オデッセイではなく初代ステップワゴンだった
BOXタイプミニバンとしては後発
初代オデッセイが乗用タイプミニバンという新ジャンルを構築したパイオニアであるのに対し、ステップワゴンは従来の1BOXとは違いノーズのある1.5BOXで登場。当時は背の低い乗用タイプミニバン、背の高いBOXタイプミニバンのどちらも人気だった。 このBOXタイプミニバンというジャンルは初代トヨタエスティマが先鞭をつけ、エスティマでは大きすぎるというユーザーに向けて登場させたルシーダ/エミーナが大ヒット。トヨタには商用車のタウンエース/ライトエースにもワゴンモデルを設定していたが商用車色が強く人気はイマイチ。日産は1991年に商用車のバネットの乗用モデルであるバネットセレナを登場させ人気となっていた。1994年のマイチェンでバネットの名前が消えてセレナとなって現在に至る。 つまりステップワゴンはBOXタイプミニバンとしてはかなり後発ということになる。
郷愁を誘う車名
ホンダ初のBOXタイプミニバンとなったステップワゴンだが、その車名はオールドファンにとってステップバンを思い出させてくれるという点でも好評だった。ステップバンの正式名称はライフステップバンで、軽乗用車のライフをベースとした軽商用バン。1972~1974年と短命に終わったがインパクトは絶大だった。 ちなみにクリエイティブムーバーの第4弾として登場したハイトワゴンのS-MXは『ステップバーン』という愛称が与えられていたが、残念ながらあまり浸透しなかった。
扱いやすいサイズ
初代ステップワゴンのボディサイズは、全長4605×全幅1695×全高1845mm。現行のステップワゴン全長4830×全幅1750×全高1840mmだからそれほど大差ない。全幅こそ1700mmを超えてしまったが、日本車が続々と大型化されるなか、2LクラスBOXタイプミニバンは、今でも使いやすいサイズにこだわって大型化を最小限にとどめている。これが長年ヒットを続けている大きな要因となっているのは間違いない。 デザインは見てのとおり武骨なまでの四角さが最大の特徴だ。しかしこの四角いボディゆえにクルマの四隅が掴みやすく、これが運転のしやすさにつながる。デビュー当初、オデッセイなどに比べて背が高いため運転しづらいとBOXタイプミニバンは奥様方が敬遠しがち、という意見もあったが、実際には全幅は5ナンバーで車両感覚が掴みやすいとファミリー層から支持を受けるに至っている。当時のホンダディーラーマンの間では、『ステップワゴンは一度試乗させれば勝ち』というのが合言葉になっていたほどだ。