痛みの少ない、数秒でできる指先からの微量採血、一部で導入始まった、自宅でできる超カンタン方式
課題は血液分析装置の更新
個人が自己採血を行うことは医療行為ではない。しかし医療機器を製造販売するためには、厚労省から製造販売認証番号を取得しなければならない。有岡氏によると、「キャピラリーカップ」の製造番号を取得するまでに約4年もかかったという。「やっと番号を取得できたので、これからはこの超カンタン採血手法をできるだけ普及させて、生活習慣病など疾患の早期発見などに貢献していきたい」と話す。 この方式を病院に導入する際に最大の課題になるのが、採血した血液は現状の大きさの採血管を使って分析する流れになっているため、「キャピラリーカップ」のように小さくなると、血液分析装置へ血液をセットする前処理に手間がかかるため時間がかかる。また現在の血液分析装置は、微量血液からの分析に適さない装置もある。微量血液から分析できる装置の導入は数千万円の費用負担になるため、新たな装置の導入は敬遠しがちになる。 有岡氏は「現在、微量血液からの分析が普及できるよう検査設備機器の開発を進めている」としており、微量採血に対応した検査設備の早期実用化が必要不可欠になっている。『採血革命』を実現するためには、こうした検査の「下流」部門の改良、改善が必要になる。「痛みの少ない安全な採血」の実現に向けて粘り強い普及活動が求められている。
中西 享