漫画原作のドラマ化「内容が変わるのはなぜ!?」性別が変わる、原作にいないキャラが生まれる理由「原作へのリスペクトない」「敬意は持て」苦言の声【著者に聞く】
ウォーカープラスおすすめ「年末に読みたい今年話題になった漫画」を紹介。 漫画を実写化するとき、性別が変わったり、原作にいないキャラが生まれるのはなぜだろう?TV番組、映画、ドラマ制作に携わった経験を持つ、のりばさん(@MangaNoriba)さんが実体験をもとに描いた漫画「なぜ〝原作改変〟は起こるのかの話」を投稿すると、Xでは7.7万のいいね(2024年12月20日時点)がつき、ユーザーからは「原作へのリスペクトない」「敬意は持て」と、大きな反響を呼んだ。今回は、「いったいなぜこんなことが起こるのか…」現場の実態を知るのりばさんに話を聞いた。 【漫画】本編を読む ■漫画は非現実的で実写化するには改変が必須?脚本会議を覗くと... TV番組、映画、ドラマ制作に携わった経験を持つ、のりばさんは、原作改変が行われていくのを目の当たりにしたという。プロデューサー、脚本家、監督が集まる脚本会議の現場。はじめにドラマは、主演俳優の決定が第一条件。ここでは監督にキャスティングの決定権があることは少なく、大手芸能事務所の権力で決定することが多いという。 現場では「オリジナル作品」をやりたいとスタッフたちは切望しているが視聴率のため、知名度のある漫画原作が起用されることが多くなった。しかし、漫画をもとに実写化していくと、現実的に難しい要素が出てくる。そこをドラマとしておかしくならないよう脚本で調整していくそうだ。 「本作を制作するきっかけとなったのは、『意外と一般の人々は原作改変について知らないのではないか?』と感じたことでした。私は一時期『漫画の実写化』に多く関わっておりましたので、その経験をもとにお話しできることが少なからずあるのではないかと考え、今回の漫画制作に意義を見出しました。内容については、実際に私が酷いと感じた方の発言をもとに構成しております」と、のりばさん。 改変の一例はこうだ。漫画では、「ヒロインの実家が貧乏なのに、弟と妹がいて、学費が払えないと言っているのに四年制の大学に通っているんです。でも、普通なら就職しているでしょ?」と、脚本家。「せめて専門学校とか、短大とか…」そう指摘すると、プロデューサーは納得。 結果、弟たちは「就職している」設定に変更になった。「視聴者が違和感を持ったらドラマを見てくれないから、言動はどんどん変更していい」と、プロデューサー。リアリティを持たせるために変更することはいいことだと思っている。 リアルな現場を知るのりばさんの経歴を聞くと「そうですね。私のキャリアはまずCMのCG制作から始まり、その後、TV番組、映画、ドラマのCG制作に携わりました。さらに、ゲーム会社でのゲームCG制作や、遊技機のCG演出制作にも取り組み、アニメのTVシリーズや劇場版の制作にも関わってまいりました。現在は管理職として、現場からは離れております」 芸能事務所のバーター調整のため、弟が生まれたり、主人公の友人など原作にいないキャラができあがる。「私自身、厳しい現場があるのは当然のことだと思っていましたが、意外にもXの皆さんが『こんな酷い現場があるのか』と、驚いている様子に私自身が驚きました。もちろん、仕事がしやすい現場もありますが、昭和の時代の価値観がそのまま残っている現場もあります。それと同時に、Xの皆さんの創作に対する多大な愛情を強く感じました。日本の漫画やアニメがこれほど強いのは、こうした支えている方々の存在のおかげだとあらためて感じました」 今後、作品の予定を聞くと「たくさんネタはありますが、最近では公開していいものかどうか悩む内容が増えてきました。たとえば、『悪徳不動産業者が弁護士にコテンパンにされた話』『上海の企業と仕事をしたら違法な提案をいろいろされた話』『年に1000万使ってみた』『大手銀行の中小企業融資担当者がKindleインディーズの収益を増やす方法を考えてみた話』などです。ネタは豊富にありますので、公開した際には、ぜひ読んでいただけるとうれしいです。 最後は実写化の現場と比較して、アニメの制作現場も描かれる。その温度の差は大きく、アニメの現場では「原作をリスペクト」した精鋭たちが集う。現場の実態を知らないユーザーたちからは、「実写がおもしろければ文句は少ない」「なんで実写化になるとモヤるのか、原因がわかった。裏話として漫画にしてくださってありがとうございます」などの声が届く。 取材協力:のりば(@MangaNoriba)