はやぶさ2、リュウグウに着地成功 弾丸発射も確認「初号機の借り返した」
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は22日、小惑星探査機「はやぶさ2」が小惑星「リュウグウ」へのタッチダウン(着地)に成功した、と発表した。着地時刻は日本時間の午前7時29分で、さまざまな想定の中でもかなり早いパターンだったという。 【動画】「はやぶさ2」がリュウグウ着地 JAXA管制室と会見の模様をライブ配信 岩石などを破壊し、舞い上がった砂やかけらを採取するための弾丸発射も確認しており、リュウグウ表面の試料採取もうまくいった可能性が高いとしている。
「人類の手が新しい小さな星に」
「本日、人類の手が新しい小さな星に届きました」 着陸成功後、神奈川県相模原市のJAXA相模原キャンパスで記者会見した津田雄一プロジェクトマネージャーは冒頭、このように今回の成功を表現した。 地球から3億キロ以上離れた小惑星の直径6メートルという狭い範囲に、探査機をピンポイントで着陸させるという難易度の高いミッションだったが、航法誘導制御担当の照井冬人さんは「結果としてはかなり完璧な精度でタッチダウンできた」と評価した。
昨年10月予定から延期の末の快挙
はやぶさ2が着陸したリュウグウは、世界で初めて小惑星から表面物質を持ち帰ることに成功した初代「はやぶさ」が探査した小惑星「イトカワ」とは別の種類の「C型」に分類される小惑星で、太陽系が生まれた頃の水や有機物が今でも残されていると考えられている。 リュウグウの試料を採取することで、太陽系の誕生や生命の起源の謎に迫ることがはやぶさ2の大きなミッションだ。 このミッションのために、はやぶさ2は2014年12月3日に打ち上げられ、約3年半後の昨年6月27日に小惑星リュウグウに到着。10月末に最初の着地を予定していたが、表面に岩塊が多いリュウグウの状態が明らかになってきたため、今月まで延期し、より時間を書けて着地予定地を選定してきた。
人工クレーター生成含め2回の着地計画
今回の成功について、佐伯孝尚プロジェクトエンジニアは「訓練をしつこくやって、観測をしつこくやって、しつこいぐらい準備した。はやぶさ2チームのしつこさが実った。これからもまだまだ続いていくが、今までやってきたようにしつこくリュウグウを攻略していきたい」と語る。 今後はやぶさ2は、さらに2回の着地を計画しており、そのうち1回は搭載型小型衝突装置(SCI)と呼ばれる機器を用いて小惑星の表面に人工のクレーターをつくり、小惑星内部の構造の直接的な観測を行ったり、内部物質を採取したりする取り組みも行う予定だ。 津田プロジェクトマネージャーは、着陸成功の後、初代の責任者を勤めた川口淳一郎JAXA教授に「(弾丸発射が失敗した)初号機の借りは返しました」と報告したと明かした。会見の最後には、小惑星探査について「誰も行ったことがないところに行き、そこに手を伸ばして、物質を手に取って、持ち帰る。それによって、知識が増えるということは、遠い将来、何らかの形で人類に貢献できると思えるアクティビティだと思う。携われるのは幸せで、みなさんにも魅力を伝えていきたい」と話した。