筑波大学が実現、イオン液滴で作製した「レーザーディスプレー」の可能性
筑波大学の山岸洋助教と産業技術総合研究所の高田尚樹研究グループ長らは、イオン液滴でレーザーディスプレーを作製した。電圧をかけて液滴の形をゆがめるとレーザー発振が止まる。液滴はインクジェットプリンターで並べられるため、生産性に優れるレーザーディスプレーになる可能性がある。 安定で蒸発しないイオン液体で液滴を作製する。イオン液体に有機色素を混ぜて撥液(はつえき)性基板上に緻密に並べる。インクジェットプリンターで直径30マイクロメートル(マイクロは100万分の1)の液滴を8Kモニターと同等の解像度で敷き詰められた。 液滴を光で励起すると赤色のレーザー光が放たれた。電圧をかけると液滴が伸びて球形から楕円形になる。するとレーザーの発振ができなくなり、発光が止まる。この原理を流体力学計算や電磁気計算で確かめた。 試作デバイスは室温大気下で数カ月安定だった。機械的な振動を受けても液体は漏れなかった。今後、発光輝度を改善するなどして実用化を目指す。