マンションの大規模修繕、足場だけで1億円かかるケースも!夫を亡くしたシングル女性が直面する「老後の家」問題
◆思い出の海外旅行 嘉子さんが25年間連れ添った夫に先立たれたのは2013年でした。大学で同級生として知り合い、1988年に結婚。自宅マンションの部屋は、結婚した翌年の89年に夫婦共有で購入しました。2LDK、55平米、南向きの部屋です。購入時すでに築15年強でしたが、バブルで価格が高騰していた頃で、4900万円もしました。でも半年後には同じ広さの上の階の部屋が1億円以上の値段に。「タイミングがよかった~。半年後なら買えなかった」 嘉子さんはフリーの翻訳家・ライター・語学教師で、年下の夫は外資系金融マン。夫婦共働きで、マンションの所有権も50%ずつの完全な共有でした。購入価格の半分を、嘉子さんは現金で出しました。たまたまその少し前に父が亡くなり、遺産を相続していたからです。残る半金は、夫が銀行で住宅ローンを組みました。 2005年、嘉子さん夫婦は、義父母、義妹と5人で欧州に家族旅行をしました。夫にはまだ病気の影も形もなく、とても楽しい思い出です。嘉子さんと義父母は、その前にも2度、夫抜きで一緒に欧州旅行をしていました。 最初は1998年。パック旅行で欧州に行く義父母と義妹に、一緒に来てと招かれました。三カ国語を操れる嘉子さんがツアコン代わり。土産店での買い物などは適当にパスして、行きたいところを案内しました。 翌99年も、今度は自由旅行がしたいという義父母と、3人でフランスとスイスなどへ。ホテルも飛行機も全部、嘉子さんが予約をし、行きたい場所を聞いて日程を組み、現地では案内をしました。 こんな嬉しいこともありました。人の良い義父母は、現地で日本人を見かけると、すぐに友だちになりたがりました。そんな時、相手から、一緒にいる嘉子さんは「ガイドさんですか?」と尋ねられます。すると義父は、とても誇らしげに「長男の嫁です」と紹介してくれました。「嫁に海外旅行に連れて来てもらっている、というのが嬉しかったんだろうな」と嘉子さん。盆暮れに会うくらいでは分からない面まで深く知ることができ、海外旅行に一緒に行ってほんとうに良かった、と嘉子さんは振り返ります。「お義父さんもお義母さんも、本物の優しい人だと分かった」 残念ながら家族旅行の後で夫は発病。数年の闘病生活の後、2013年に不帰の客となりました。まだ50歳。四十九日を前に義父母はお骨を取りに来て、郷里にある先祖代々の墓に納骨しました。
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