マンションの大規模修繕、足場だけで1億円かかるケースも!夫を亡くしたシングル女性が直面する「老後の家」問題
◆人生で一番大事なのものは時間 いま、嘉子さんは規則的な毎日を送っています。朝は7時に起きて、8時から9時に朝食、12時から13時に昼食、19時から20時に夕食を摂り、深夜24時に寝ます。食事は、お腹が減ったら食べるのでなく、時間を決めておくのが大事と聞いたためです。パターンを決めて、リズムを崩さないようにしています。運動は、月に1度は仲間と高尾山に登っています。 「人生で一番大事なのものは時間。愛でも仕事でもお金でもない」と、嘉子さんは言います。コロナの前、親友が63歳で突然死した時に痛感したそうです。 愛はもう十分です。夫との25年間は濃厚で、いまさら誰か他の人とどうこうとは考えません。「25年、十分にちゃんと向き合って愛し合ったら、寂しくない。一人でも意外と大丈夫。彼は亡くなっちゃったけど、今もここにいるって感じ」。ずっと暮らしてきた自宅に、夫の存在を感じると言います。「彼といた25年もすごい幸せだったけど、いまは一人で生きる時間。与えられたチャンス。これはこれで楽しい」 仕事は、コロナの前まではライターと語学教師で稼いでいました。けれど、仕事を請け負っていた編集プロダクションも教えていた塾もコロナでつぶれ、仕事がゼロに。2020年3月の緊急事態宣言後、人にも会わず、何もすることがなくなり、4、5月は精神的にすごく落ち込みました。めったに減らない体重が落ちたほどです。 ですが、毎日、友人とオンラインで話し、小曽根真の無料のジャズライブ配信を聞いているうちに、心境に変化が。「これはこれでいいな。仕事しないっていいな」と気付いたのです。「60代後半なんて、もう人生の最晩年。母も77歳で亡くなった。仕事はもう終わっていい。仕事人じゃなくていい。つまらないことをやっている時間はない、好きなことをしようと思った」。ものの見方が変わって吹っ切れたのでしょうか、20年7月頃から急に元気になりました。
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