灘中学など最難関を突破する算数学力、必要な思考力養うのは「コツコツ習得」か「熱中思考」か
■最難関中学受験に向くタイプ
中学受験の算数を得意とする生徒の学習法を大まかに分けると、「コツコツ習得型」と「熱中思考型」の二つのタイプになります。 「コツコツ習得型」の生徒は、塾で習った内容を徹底的に復習することで、週ごとや月ごとの復習テストで高得点を取り、上位クラスをキープするタイプです。教師の説明に対しての理解能力に優れており、家庭学習においての反復練習をいとわない根気も持ち合わせています。 しかし、このタイプの生徒には、難問への耐性が欠けていたり、初見の問題への対応力が弱かったりするケースが多く見られます。 一方、「熱中思考型」の生徒は、塾から出された課題はほどほどにこなして、自分が興味ある問題を時間を忘れて、とことん考え抜くタイプです。復習テストでは、限られた時間での再現能力が弱く、基本問題を取りこぼすなどしてテストの点数にムラがあります。しかし、日頃の難問を熟考する過程から、「読解力、条件整理力、試行錯誤力」などの根本的能力が成長しています。 復習テストの点数を子供の学習成果の判断基準とすれば、塾の先生や保護者に褒められるのは前者の方になりがちです。ところが、最難関校の算数入試に対応できるのは後者の方なのです。 なぜなら最難関校の算数入試で問われる力は、塾で習った解法の再現能力だけでなく、初見の問題に対して「情報を正確に読み取って整理し、自ら論理を構成していく力」や「試行錯誤して本質を見抜く力」であるからです。
■学習の硬直化の原因
塾のマニュアルにしたがって、生徒または保護者に対して、次のようにアドバイスする先生は非常に多くいます。 「基本問題がスラスラ解けるようになってから応用問題を解くようにしてください」 「1問に5分以上かけてはいけません。そんなことをしていては多くの問題が解けるようにはならないです」 「正答率の高い問題を完璧にできるようにしてください。正答率の低い問題は取り組む必要はありません」 これらのアドバイスはすべて生徒を「コツコツ習得型」の枠にはめ込もうとするものです。 これは「目の前の点数をいかに取らせるか」にこだわりすぎるためであり、それにより学びは硬直化し、いつまでたっても思考力が養成されることはありません。
