【渋谷ハロウィンを負債から稼げる資産へ】警備費に1億円近くかけても経済効果は薄い、迷惑行為防止とマネタイズに必要なこと
国内で特徴的なハロウィン運営
日本国内では、公式に運営されるハロウィンイベントとしてカワサキハロウィンが知られてきた。川崎市内のシネマコンプレックス「チネチッタ」などを運営するチッタ エンタテイメントが公式な運営母体となり、1997年の開始以来年々2割増しくらいで20年かけて拡大し、運営側もノウハウを蓄積していった。 川崎市と商店街が協力し、親子で楽しめるパレードや地域連携の強化が進められ、街に愛されるイベントに成長。2010年代には主催25団体、パレード参加者約3000人、観覧者12万人にまで拡大した。しかし、2015年頃には盛り上がりのピークを過ぎ、少しずつ応募数が減少。一方で観客数は右肩上がり、規模が大きくなり過ぎたことで、警備の労力と宣伝効果との採算が見合わなくなってきて、チッタ エンタテイメントは21年に「カワサキ ハロウィン」の中止を発表した。渋谷の騒動など、過熱化したハロウィンブーム全体にネガティブな印象がついたことも無視できない要因だった。 運営責任者の土岐一利広報宣伝室長は「もとは企業宣伝の目的で始めたイベント。チッタというとがった企業のエンタメの在り方を若者に伝えたくて始めたが、市民権を得たことで企画も丸くならざるを得ない。潮時でした」と振り返った。一民間団体が仕切る範疇を超えたともいえるだろう。 一方で池袋のハロウィンは比較的しっかりした組織化を進めて発展しつつあるように見える。主催の池袋ハロウィンコスプレフェス実行委員会に、動画配信大手のドワンゴやアニメイト、コスプレイベントなどを開催するハコスタが参画し、豊島区や豊島区商店街連合会、サンシャインシティが共催、東京商工会議所豊島支部豊島区観光協会などが後援する。キャノンマーケテイングジャパンやサロンパスがスポンサーになり、池袋インバウンド推進協力会 / 一般社団法人Hareza池袋エリアマネジメントが協力をしている。 アニメの聖地・池袋を舞台としたコスプレイヤー・カメラマンが参加するイベントで、ステージ企画やパレード、展示ブースなどを展開する。2024年は3日で過去最大の16万1000人が来場し、親子連れや海外からも多数参加した。今後の展開に注目したい。