60代の父が生活保護を頼るらしく、「扶養照会」が届いていました。私の年収は300万円なのですが、それでも扶養すべきなのでしょうか...?
いきなり扶養照会が届いたとしたら、自分の収入や生活状況によって親を支援できるか悩むこともあるでしょう。本記事では、生活保護の扶養義務にはどのような基準があるのか、また扶養が求められる場合の対応方法について解説します。 ▼「生活保護」の受給要件とは? 親族への扶養照会は必須なの?
扶養照会とは
生活保護の扶養照会は、生活保護を申請した人に親族がいる場合、その親族が経済的支援を行えるかを自治体が確認するためのものです。 例えば、親が生活保護を申請すると、子どもに対して扶養照会が届くことがあります。生活保護は国による支援制度ですが、まずは家族による扶養が優先されるため、この確認が行われるのです。 この扶養照会では、申請者や受給者について親族が仕送り可能かどうかを自治体が尋ねます。生活保護の方針として、「扶養が優先される」という決まりがあり、民法上の扶養義務を持つ3親等以内の親族が対象です。 ■生活保護法改正と扶養義務者の範囲縮小 生活保護法改正により、申請後の扶養義務者への通知(第24条第8項)と報告の要求(第28条第2項)は「限られた場合のみ」に適用されることになりました。 扶養義務の履行ができないと判断される基準を、厚生労働省「扶養義務履行が期待できない者の判断基準の留意点等について」を基にご紹介します。 ・当該扶養義務者が被保護者、社会福祉施設入所者、長期入院患者、主たる生計維持者ではない非稼働者、未成年者、概ね70歳以上の高齢者など ・要保護者の生活歴等から特別な事情があり明らかに扶養ができない ・当該扶養義務者に対し扶養を求めることにより明らかに要保護者の自立を阻害することになると認められる者 上記はあくまでも例示であり、直接当てはまらない場合においても、これらの例示と同等のものと判断される場合は扶養義務履行が期待できないと判断されるようです。 また、配偶者や子以外の扶養義務者については、自分や同居家族が生活に余裕があれば援助するという「弱い義務」にとどまるとされています。