ノリックも大治郎も原田も昔は年中バイク乗り放題…制限だらけの今のライダーはどこでどうトレーニングしてるのか?
テスト走行が減っての変化
それが次第にサーキットでのテスト走行が減り、ライダーたちは、バイクに乗る機会を求め、モトクロスやダートトラックをするようになる。そういう時代の変化のなか、2010年4月に当時ナンバーワンライダーだったバレンティーノ・ロッシがモトクロストレーニングで右肩を負傷したことが大きなニュースになり、あらためてMotoGPライダーのトレーニングが話題を集めた。 その数年後、ロッシは生まれ育ったイタリア・タブーリアに総合的なオフロードの練習場を作り、さらに「VR46ライダーアカデミー」を創設。多くのグランプリライダーを育ててきた。ドゥカティで2年連続タイトルを獲得したフランチェスコ・バニャイアもそのひとりである。 スペインではマルクとアレックスのマルケス兄弟が、時間の許す限りバイクトレーニングに励み注目を集めている。市販ロードマシンでのサーキット走行、モタードにモトクロスと、スペインの一年中温暖な気候を活かし、圧倒的な量の練習を積んでいる。その目的はもちろん速くなるため。「バイクに乗って練習あるのみ」ということで、一緒に走る若手ライダーたちは世界チャンピオンから多くの刺激をもらっている。 しかし、こうしたトレーニングで怪我をするライダーは多く、マルク以外にも本番に影響が及んだ事例は多い。今季Moto2クラスで世界チャンピオンに輝いた小椋藍は23年のシーズン開幕前に左手首を脱臼骨折し、その怪我の影響でタイトル争いに加わることなくシーズンを終えた。だからといって、バイクに乗ってのトレーニングを止めようとはしなかった。 日本にいるときの小椋は時間が許す限り、子どものころから腕を磨いてきた埼玉県・桶川スポーツランドで走り込んでいる。1周約800mのこのサーキットで、250ccロードマシンや450ccのモタードマシンで常に全力全開をモットーとしている。数年前まで出場していた桶川スポーツランドのレースでは、出場したほぼ全クラスのレコードタイムを樹立。それはいまもレコードであり、練習走行ではタイム更新に全力を注いでる。