「おせちは“プチ富裕層”のもの」「お年玉は悪しき文化」今後、“生き残る”年末年始の風習は? 「風習の“仕分け”」で見えてくる日本の未来
いずれにしても帰省自粛が相次いだコロナ禍を経たからか、かつてのような「それでも行かなければいけない」という圧力のようなムードは薄れた感があります。 夫婦それぞれが自分の実家に向かうセパレート帰省、実家で過ごしたあと別の施設で宿泊するホテル帰省、故郷に近い温泉などに集まるリゾート帰省、時期をずらした後倒し帰省などもあり、風習自体が時代に合わせて多様化しているのでしょう。 ■「おせち料理」はもはや“プチ富裕層”のもの
一方、「やっぱり必要」という人には、「自分の実家へ行って楽をしたい」「できるうちに親孝行しておきたい」「子どもが喜ぶから」などの明確な目的がありました。他の風習に比べてメリット・デメリットがはっきりしているだけに、形が変わり、多様化しても、帰省そのものは国民的な風習として続いていくのでしょう。 “おせち料理”のアンケート結果は、100人中「必要」が7人、「不要」が93人でした。 「不要」と答えた人が多かったわけですが、その大半を「以前からほとんど食べていない」という声が占めました。
ただそれ以外でも、「好きなものがない」「おいしくない」「高い」「実家を出て食べなくなった」「子どもたちも食べない」「お年寄りのものだと思う」などの厳しい言葉がズラリ。食文化が多様化し、飲食サービスが充実化したことで、すでによほど好きな人でないと食べないものなのかもしれません。 一方、「必要」という人は、ほぼ全員が「子どものころから食べているから」「食べないと正月という感じがしない」などと長年の習慣をあげました。さらに「自分で作るのが楽しい」「正月だけなので買いたくなる」などと年に1度の習慣を楽しんでいる人もいて、少数派ながら存在意義が感じられます。
おせち料理はその販売価格の高さから、プチ富裕層向けの食ビジネスに切り替わった感があり、過渡期を乗り越えて安定した状況に入ったのかもしれません。 ちなみに「不要」と答えた何人かに年越しそばについて尋ねると、ほぼ全員が「必要」と答えました。そば店やスーパーなどでの販売状況を見ても年末の習慣として盤石であり、関係者が本気になれば、より収益化を高めるビジネス展開も考えられそうです。 ■「初詣」だけは別格と言える理由