人類によって生み出された「人工元素」は何種類あるか…「驚きの生成方法」と「意外な目的」
原子の成り立ちとは…
中性子をそれぞれ0個、1個、2個含んだ、水素、重水素、三重水素という同位体があります。水素の元素記号はH。同位体を構成する陽子と中性子の個数の和を「質量数」と呼び、同位体を区別して表現するときは、元素記号の左肩に質量数を記入します。水素、重水素、三重水素は、¹H、²H、³Hと書きます。 「図:水素原子と重水素原子の構造と質量・大きさ・電荷」に、同位体である水素原子と重水素原子の構造と質量、大きさ、電荷をまとめました。 水素原子は陽子と電子からできていて、その質量は陽子と電子の質量の和、大きさは10-¹⁰m、電荷は中性です。重水素原子は陽子と中性子と電子からできていて、その質量は3つの粒子の質量の和です。大きさは水素とほとんど同じで、電荷は中性です。 電子は、質量が陽子の2000分の1、大きさは10-¹⁸mより小さいと考えられています。電荷はマイナス1価です。陽子は質量が1.7×10-²⁷キログラム、大きさは1.7×10-¹⁵m、電荷はプラス1価です。中性子は、質量も大きさも陽子とほぼ同じで、電荷は中性です。 水素(H)や鉄(Fe)、鉛(Pb)など、天然には94種類の元素があります。地上には150万種もの動植物が暮らしていますが、生物に限らずすべての物質が、これらの元素の組み合わせでできていることになります。 原子についての理解が進んでいなかった古代エジプト時代から20世紀初頭までの長い間、変色せず加工性に富んだ金(Au)を他の物質からつくる(変換する)錬金術という試みが盛んに行われました。しかし、企てはことごとく失敗。元素の変換に初めて成功したのは、ラザフォード博士でした。 ラザフォード博士は1919年に、アルファ()粒子(質量数4のヘリウム[⁴He]原子核の別の呼び名です)を窒素(¹⁴N)に照射すると、陽子(p)が飛び出してくることを発見したのです。このとき、窒素が酸素(¹⁷O)に変換されました。元素の変換とは、原子核が異なる原子核へと変化したこと、すなわち原子核に反応が起きたことを指しています。この反応を「原子核反応」と呼び、 ¹⁴N+⁴He→¹⁷O+p と表します。矢印の左側に反応前の原子核、右側に反応後の原子核が示されています。