子どもの脳とやる気を育てる叱り方とは? モンテッソーリ教育で「ダメ」「違う」がNGな理由
子どもを叱らなければいけない場面で、怒鳴ったり、高圧的にならないように気をつけているけど、なかなか子どもは言うことを聞いてくれません。子どもの叱り方は本当に難しいです。 【マンガ】集中力が高い子ほど、乳幼児期に体験している「フロー状態」とは? モンテッソーリ&レッジョ・エミリア教育研究者である島村華子さんは「子どもを叱ることは、社会適応に必要な知識やスキルを教えるために必要なこと」と語ります。では具体的にどう叱ればよいのでしょうか? プログレッシブ教育の代表格「モンテッソーリ」と近年最注目の「レッジョ・エミリア」の視点から考える「具体的な叱り方」について、島村華子さんの著書『自分でできる子に育つ ほめ方 叱り方』より紹介します。 ※本記事は島村華子著『自分でできる子に育つ ほめ方 叱り方』(ディスカヴァー・トゥエンティワン刊)より一部抜粋・編集したものです
「ダメ!」「違う!」をできるだけ使わない
子どもに対して、つい「それダメ!」「これダメ!」「違う!」「やめて!」と否定的な言葉を使って叱ることが口ぐせになっていませんか。もちろん、道路に飛び出しそうになるなどの危険な状況では「ダメ!」と言うこともやむを得ません。 ただ、そのような緊急事態でない限り、子どもに否定的な言葉を浴びせないようにすることが大切です。 「そうだったんだね」「わかるよ」から始める 子どもは、「ダメ」「やめて」「違う」といった言葉を聞き続けると、脳が脅威を感じて戦闘モードに入り[*20]、フラストレーションが爆発しやすい状態になります[*21]。 反対に、子どもの気もちや意思を受け入れたうえで声をかけた場合は、脳が戦闘モードに入るのを防ぐことができ、反発せずに自分や他人の気もちに寄り添う柔軟性が生まれます[*20]。 肯定の言葉(「そうだったのね」「わかるよ」など)から始めるというのは、叱らずに野放しにする、子どものわがままを丸呑みするという意味ではありません。まず「ダメ!」と口走る前に、子どもが何をしたかったのか、何を言いたかったのかを理解し、ありのままの子どもを受け入れたうえで手を差し伸べるということです。 たとえば、幼児がタンスの洋服を片っ端から引っ張りだして遊んでいるとします。「ダメダメ! 何しているの!」と否定から始める代わりに、「そっか! 洋服を引っ張りだしたかったのね!」とまず気もちを肯定し、「このお洋服はこの引きだしにしまうから、終わったら一緒に片付けようね」と声かけをしてみましょう。 *20 Siegel, D. J., & Bryson, T. P. (2019). The yes brain: How to cultivate courage,curiosity, and resilience in your child. Bantam. *21 Newberg, A., & Waldman, M. R. (2013). Words can change your brain: 12 conversation strategies to build trust, resolve conflict, and increase intimacy.