発熱者出るも強行されたサガン鳥栖対FC東京戦の舞台裏で一体何が起きていたのか?
長谷川監督はミーティングを開催した上で、選手たちに対して「もし不安があるのであれば、今日は試合をやらなくてもいい」と伝えた。 「やはり万が一、ということが当然あるので、選手たちの生活と健康を預かっている監督としては、強引に試合に臨ませるというのは苦しい選択があった。そういう状況のなかでもプレーできる選手だけをメンバーに入れる、という話をしましたが、全員がホームのファン・サポーターの前で戦う姿勢を見せる、という思いで今日のピッチに立ってくれたと思っています」 新型コロナウイルスによる長期中断から公式戦を再開させるにあたって、Jリーグはゴールキーパー1人を含めた選手14人をそろえられれば、予定通り試合を開催する条文を試合実施要綱に追加している。逆に考えれば、プレー可能な選手が14人未満の場合は中止を検討する対象になる。 試合でベンチ入りできない選手は新型コロナウイルス感染者、感染者の濃厚接触者に、濃厚接触者の可能性がある選手も含まれる。7月26日のサンフレッチェ広島対名古屋グランパスは、後者で判明した新規感染者2人の濃厚接触者を特定する所轄保健所の作業終了がキックオフ前後となり、最悪の場合、14人をそろえられない恐れがあるという理由で試合当日に急きょ中止となった。 対照的に今回は、試合前夜に発熱した選手の感染は現時点で確認されていない。前述したように7月31日に受けた公式PCR検査で、陰性が確認されたことを受けて東京へ移動した。当該選手を前夜から隔離した上で離脱させたことを含めて、プロトコルに従ったサガンの手順にも瑕疵はない。 ただ、1日に過去最多の472人もの感染者が確認された東京都を中心として、新型コロナウイルス感染の再拡大が懸念されている状況下で、長谷川監督が唱えた主張にもうなずけるものがある。 今後も同様の事態、要はキックオフ直前にどちらかのチーム内発熱者が出た場合の対応を問われた指揮官は、意を決したように「(試合を)やるべきではないと思います」と持論を展開した。