はやぶさ2、リュウグウ観測状況は? JAXA会見(全文4完)結果をゼロにしない
重力場の計測なら成果を出せる可能性がある
で、これは昨年の11月にも申し上げたんですけども、当初の予定のように表面近くで切り離して、運良く再起動できて何か移動とか撮像ができればいいかなということで、運が好転することに期待してミッションをやるよりは、できないものはもうできないということを踏まえた上で、じゃあ残された機能で、あるいはローバ2という存在そのものが何か少しでもプラスになることはないかということで、「はやぶさ2」チームの皆さんとご相談をさせていただいて、結果をゼロにしないということでいろいろ相談した結果、1キロメーターぐらいの高度から切り離してリュウグウの周りを周回運動させるということが工学的にも、先ほどからご説明ありましたけども、重力場の計測ということで意義のある成果を出せる可能性があるということで、その道を選択させていただいたというところでございます。 もちろん私としましては、当初予定していた表面での新しい移動メカニズムの検証と、それが最大目的でありましたので、それができなくなる、ほぼできなくなるということは非常に残念でありますし、関係者の人に本当、大変申し訳ないと思っているんですが、結果をゼロにしないということで、新しい運用方法を見いだすことができて、そのために「はやぶさ2」プロジェクトの皆さまにもたくさんの知恵を出していただいて、アストロダイナミクスの専門家のご協力も得て今回の計画に至ったわけでありますので、なんらかの有意義な成果を残せればというふうに考えているところでございます。
着地まで通信で確認できるのか
東京新聞:通信系は起動するということなんですけれども、リュウグウの周りをくるくるローバ2が回って、近づいていって着地するところまで通信で確認できるんでしょうか。 吉田:何か通信系が起動しているときにはシグナルを送ればちゃんとシグナル受け取ったよっていう返事は来るんですけれども、太陽電池を使っての運用になりますので、日陰に入りますと電源が切れます。また日なたに入ると電源が入る可能性があるということで、ですのでずっと通信がつながっていて落ちていく様子をつぶさに見ることができるかというと必ずしもそうではありませんし、実際、通信系を使って位置や距離を出すということも簡単なことではございませんので、今回は光学的に位置を追跡するということをメインに考えておりまして、通信機が生きてることによってなんらかのプラスアルファがあれば、それはラッキーかなというふうに考えているところであります。 東京新聞:じゃあONCカメラで大きさとかを見て着地したかどうかを確認すると。 吉田:着地の確認というのは非常に難しいところでございますけども、周回運動しているときには、大きさというよりもおそらく光の点として撮影されると思うんですけども、リュウグウの天体の周りにローバ2が光の点としてどういう軌跡で映り込むかと。それを見ることによって軌道を確認することができますので、それをさまざまなタイミングで。当初はずっと時々刻々撮影していただいて、軌道の推移を観測するというのが一番可能性が高い成果の出し方だというふうに考えております。