なんと、駐車場から「イングランド王」の遺体が出てきた…!530年も「放置」されてきた遺骨を「個人特定」した衝撃の事実
DNAとは何か?
DNAとは、「デオキシリボ核酸」とよばれる、私たち生命のあらゆる遺伝情報を収納した物質である。「遺伝」、「遺伝子」との違いがよく混同されるが、遺伝が身体的特徴や他のさまざまな形質が世代を超えて引き継がれる「現象」そのものを指し、遺伝子がそれを規定(コ ード)する「情報」であるのに対し、DNAはデオキシリボ核酸という「物質」そのものである点に違いがある。 遺伝子の情報は、具体的にはDNAを構成する4種類の「塩基」、すなわちアデニン(A)、チミン(T)、シトシン(C)、グアニン(G)によって書かれている(ただし、RNAの場合は、チミン=Tの代わりにウラシル=Uが含まれるという特徴がある)。この4種類の塩基が、いわば、英語のアルファベットのような役割を果たすことで、さまざまな遺伝情報が構築されているのだ。 面白いことに、私たちのDNAには、4種類の塩基からなるある特定の配列が、繰り返し何度もつづく箇所が複数あることが知られている。この繰り返し配列を「マイクロサテライト」とよぶが、このマイクロサテライトこそ、DNA鑑定の重要なキーパーソンの一人なのだ。 続いて、リチャード3世のDNA鑑定でも使われた、この「繰り返し配列」について述べてることにしよう。 * * * 私たち人類がたどった過去の時間を記録している「遺伝子」。530年前の遺骨をDNA鑑定するために、どのような方法があるのでしょうか? 後編記事<頭部を剣で突かれた遺体は、衣服を剥がれさらしものに…!遺骨が物語る「イングランド王が受けた屈辱」と「深まる謎」>では、繰り返し配列をはじめ、私たちの先祖の情報がどのように伝わっているのか、という問題について見てみます。 >>>後編はこちら>>> 王家の遺伝子――DNAが解き明かした世界史の謎 「勝者の歴史」が覆い隠した「王家の真実」を、最新生命科学が解明する! 歴史と科学が出会い、科学が歴史を書き換える──。
石浦 章一(東京大学名誉教授・同志社大学特別客員教授)
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