なんと、駐車場から「イングランド王」の遺体が出てきた…!530年も「放置」されてきた遺骨を「個人特定」した衝撃の事実
リチャードは、実の甥を手にかけたのか?
護国卿となったグロウスター公リチャードはすぐさま、その権力を誇示していく。 前王妃であるエリザベスとその出身家であるウッドヴィル家と対立し、まずはエドワード5世の叔父であるリヴァーズ伯アンソニー・ウッドヴィルを処刑して同家の力を削(そ)いだ。 次いで、「エドワード5世もその弟であるリチャードも、エドワード4世の庶子であり、エリザベスが皇太后として権力を握るためにウソをついている」という風聞を流し、エドワード5世と弟リチャードの二人をロンドン塔に幽閉した。その後、エドワード5世を廃して、チャード3世として自ら即位したのである(1483年)。少年王であったエドワード5世の在位期間は、わずか2ヵ月半という短さであった。 このあたりはシェイクスピアの独擅場で、『リチャード三世』の書き出しは次のようになっている(小田島雄志訳『シェイクスピア全集』より)。 Now is the winter of our discontent Made glorious summer by this sun of York; (われらをおおっていた不満の冬もようやく去り、ヨーク家の太陽エドワードによって栄光の夏がきた) また、リチャードが、先王の2子(実の甥)を評する場面では、こう独白させている。 So wise so young, they say, do never live long. (諺[ことわざ]にもある、幼いうちから賢いものは長生きできぬと) 幽閉されたエドワード5世と、その弟リチャードの二人は、ロンドン塔の庭で遊んでいる姿を目撃されているが(Princes in the tower)、数ヵ月後にはそれも途絶えた、という言い伝えがある。この場面を演じたローレンス・オリヴィエ扮するリチャード3世の迫真の演技は必見だ。 リチャード3世の即位後、息子エドワードが11歳でこの世を去り、また、王妃となった妻アンも急死している。シェイクスピア劇では、ともにリチャード3世が殺害したことになっているが、史実とは異なるという指摘もなされている。 テューダー朝を礼賛するシェイクスピアにとって、リチャード3世は敵役であり、そのことが、過度に残酷な人物像を描かせたものと推測されている。 ところで、ここに登場した「キングメーカー(King Maker:王位請負人)」や「護国卿(Lord Protector:幼王の後見人)」という言葉を耳にしたことがあるという人も多いだろう。前者は、我が国でも陰の実力者といわれる政治家が自分の思うままに首相を決める、といった出来事が繰り返し起こっているので覚えている人も多いはずだ。護国卿も、字面とは異なる意味をもつので注意されたし!
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