「セックスレスで仲がいい夫婦」はありうるか…渡辺ペコ×ひうらさとるが語る「いい夫婦」
バイオリズムや年齢にもよる性欲。夫婦が同時に上がるとは限らない
渡辺 性欲って、バイオリズムや年齢にもよるのでは。さっき「セックスの重要性はカップルによって違う」という話をしましたが、これって時期によっても変わりますよね。波があると言いますか。 ひうら はいはいはい! 渡辺 一方がツーって凪の時もあれば盛り上がっている時もあり、2人揃って凪いでいる時もあり……。お互いの体調、気分、エネルギーで変わるものだけに、一言で「こうだ」と決められない部分が多い気がします。 ひうら 夫婦のそれが同時に上がるとは限らない。でも究極のことを言えば、そこでちゃんと話し合えるんだったら、それで離婚になってもいいと思うんですよ。 渡辺 そうですよね。必ずしも続けていくことだけが答えじゃない。できない理由を話し合うのは、お互い成熟していないと無理ですから、そっちのほうが難しいかもしれません。そこで向き合える人たちは、それこそ「いい夫婦」なのだと思います。 ひうら 本当にそうですよね。
いい夫婦とは、そこに信頼と敬意があること
渡辺 あと先ほど、ひうらさんが『1122』のタイトルについておっしゃっていましたよね。私も「いい夫婦」という言葉が持つ欺瞞とか難しさとか、それを冠にしてしまうことの危険みたいなものを強く感じていて。取材でもよく「いい夫婦って何ですか?」と聞かれるのですが、なかなか伝えるのが難しかったんですね。で、何度も問われるうちに「その言葉に囚われないこと」と「信頼と敬意があること」なのかなと思い至るようになりました。 ひうら ああ、そうですね、恋愛の愛情よりそっちですね。お互いがお互いの領域を尊重しているって、すごく重要だと思います。 渡辺 ですよね。それこそ私が観てきた昭和のフィクションでの夫婦って、「愛情で繋がったひとつの終着点」みたいな描かれ方をされていた気がするんですが、実はそうではないんじゃないかなと。 ひうら 大切なのは信頼と敬意。激しく同意します! 渡辺 私はそれを、フィクションのなかであまり見たことがないんですよね。夫婦関係、恋人関係のなかで、愛や恋愛感情や性欲はエモーショナルに描かれていた気がするけれど。敬意を持っている相手に、変な自分を見せっぱなしにできないですしね。