「セックスレスで仲がいい夫婦」はありうるか…渡辺ペコ×ひうらさとるが語る「いい夫婦」
女性向け風俗に行くいちこに「良かったね!」と読者から称賛の声が
『1122』には、いちこが友人から聞いた女性向け風俗に興味を持ち、サロンを訪れるシーンもある。そこで紹介された青年・礼にときめきを覚え、彼女は迷いなく1ヵ月後の施術を予約するーー。読んでいてドキドキしてしまうシーンだが、実際に読者からの反響も大きかったという。 ひうら いやもう、私はあのシーンがすっごい好きで(笑)。読んでいてめちゃめちゃ盛り上がりました。でもいちこは初回、礼くんと最後までしないで帰るんですよね。思わず「チッ!」となりましたけど(笑)。 渡辺 え! うれしいです! 「そこは行っとけ!」と(笑)。 ひうら そうそうそう! 渡辺 いちこと礼のシーンは、ものすごい応援の声をいただきました。おとやの不倫には非難ごうごうで、「クズ!」みたいな軽蔑のまなざしだったのに(笑)、いちこの時はSNS等でも「良かったね、いちこちゃん!」という反応で。全然違いましたね。 ひうら 最高でしたよ。 渡辺 そうやって女性も買う側になる。私はそれを「いいじゃないか」と思って描いたんですけど、いま世にある男性が買う側の現状を考えると全然よく思えないんですよね。男性が年の離れた若い女性を買うという、あれってどういうことなんでしょう? ひうら 私もなぜそう思ってしまうのか自分でも明確にはわからいなんですが、まず圧倒的に歴史が違いますよね。そもそも男女が平等ではないですし、性的な部分に於いては特に不平等です。パワーバランスがすでにあるのだから、「ちょっとくらい自由にしてもいいじゃん!」と思ってしまうところがあるのかも。(笑)。 ◇対談第2回では、ひうらさんの『西園寺さんは家事をしない』のエピソードとともに「いい夫婦と家事の関係」を探っていく。 渡辺ペコ 2004年「YOUNG YOU COLORS」にて「透明少女」でデビュー。2009年「ラウンダバウト」が第13回文化庁メディア芸術祭審査委員会推薦作品に選ばれる。著書は「にこたま」「東京膜」「おふろどうぞ」他多数。2020年に完結した「1122(いいふうふ)」は現在、累計146万部を突破。現在「モーニング・ツー」にて「恋じゃねえから」連載中。 ひうらさとる 1984年「あなたと朝まで」(なかよしデラックス8月号)でデビュー。以降「ぽーきゅぱいん」「レピッシュ!」「月下美人」「プレイガールK」など、多くの話題作を発表している。2007年には「ホタルノヒカリ」が綾瀬はるか主演でテレビドラマ化され、大ヒットした。 構成・文/上田恵子
渡辺 ペコ/ひうら さとる/FRaU マンガ部