残念だが…1月にウクライナ戦争は「リベラリズム」から「リアリズム」に変わる
進退を問われるゼレンスキー大統領
たしかにロシアがウクライナへ武力で侵攻した。ウクライナは奪われた領土を取り返すために反撃に出た。正義がどちらにあるかは火を見るより明らかだ。西側はウクライナの立場を支持し、戦うための武器を与え、銃後を支えるための資金を送って支援する。 だがしかし、銃もパンも西側頼みの戦争には自ずと限界があった。それに、そもそも西側の支援は永遠ではない。最後はリアルな現実が帰趨(きすう)を決めるのが、戦争という手段でもある。 年が変われば、リベラリズムに替わってリアリズムの言説が世界を覆うはずだ。その後ウクライナでは、5月に大統領選挙が実施されるだろう。 戒厳令下、大統領の任期は延長され、最高会議議員の選挙も延期されてきた。アメリカと西側は、それをあえて不問に付してきた。だが、トランプ次期政権が、この先もそれを容認するとは限らない。ゼレンスキー大統領自身も、いずれ進退を問われよう。 このようにしてしか戦争を終えることのできない世界に私たちは生きている。国家そのものが巨大な利権と化している。そして、政治リーダーは自らをどこまでも肯定しつづける。国民の審判が下されても、なお。賢者の不在を嘆かざるを得ない。
西谷 公明(エコノミスト)