植樹が逆効果に? 木の種類を間違えると夜間の気温が上がるかも
都市構造によっても違いが
都市構造による影響も明確になっています。温帯や大陸性気候、熱帯気候の開放的な都市構造を持つ地域では、落葉樹と常緑樹を組み合わせることで、約0.5度の追加的な冷却効果が得られます。これは、異なる高さの3D的な冷却効果と、季節に応じた日陰と日光のバランスが取れるためとされています。 一方、カイロやドバイのような乾燥地帯の建物が密集している市街地の気温を下げるためには、常緑樹が効果的です。 高いビルが立ち並ぶ都市部の「ストリートキャニオン」と呼ばれる街路空間では、樹冠被覆が高くなりすぎると、歩行者レベルの高さで熱がこもりやすくなるといいます。気温が高い地域ではこの傾向が特に顕著なのだそう。このような場所では、樹種を絞って、まばらに植えたほうが効果的とのこと。 研究チームは、気候や都市構造のデータに基づいて冷却効果を推定するデータベースとインタラクティブマップを開発しています。 それによると、温暖湿潤気温の日本(なぜか佐賀市)は、落葉樹が適しており、昼間は最大で2.7度の冷却効果があって、夜間の気温は変化しないとなっています。都市や街づくりによっても違うでしょうけど、2.7度は大きいですね。 Bardhan氏は、温暖化に伴って都市部の暑さが深刻化する中、計画的、戦略的に樹木を植える重要性について、プレスリリースで次のようにコメントしています。 「私たちの研究結果は、ただ緑地を増やすだけでなく、冷却効果を最大限に発揮するために、適切な木を最適な場所に植える必要があることを示唆しています。都市計画担当者は、暑さに強く、冷却効果を維持できる樹種を選択することで、将来の温暖化に備えなければなりません」 同時に、研究チームは都市の気温低下を木だけに頼ってはいけないと強調しています。日よけや反射素材など、他の暑さ対策と組み合わせることが重要だとしています。 世界的な温暖化が進む中、都市部の熱ストレスは、もうすでに深刻な健康被害や死亡事例、電力消費の急増、熱関連の社会的不公平、都市インフラへの悪影響など、多岐にわたる問題を引き起こしています。温暖化とヒートアイランド現象による都市部の暑さを少しでも和らげるために、最も必要な場所にフルパワーを発揮してくれる木を植えるような都市計画をつくってほしいですね。 Source: Li et al. 2024 / Nature Communications Earth and Environment Reference: University of Cambridge (1, 2)
Kenji P. Miyajima