【大学野球】過去と比較しても「一番いい状態」 いよいよ幕を開ける明大・宗山塁のラストシーズン
改めて芽生えた家族への感謝の思い
さて、明大は9月21日、第2週の東大との開幕カードで秋季リーグ戦が幕を開ける。 「不安もあり、緊張感の中にも楽しみな部分もある。終わったときに、どのような結果になっているのか……。リーグ戦の入りはいつも気が引き締まりますし、逆に、その気持ちを忘れてはいけないと思います。ケガ明けで試合に出られるので、特別な思いがあります」 宗山は3年秋までに東京六大学リーグ通算94安打。連盟記録である明大の先輩・高山俊(2024年はオイシックス新潟に在籍)の持つ131安打の更新が期待されていた。ところが、学生ラストイヤーはアクシデントの連続だった。2月末のオープン戦で死球を受けた。井端弘和監督が率いる侍ジャパントップチームに選出され、チームに合流したが、右肩甲骨骨折が判明。強化試合を欠場し、帰京後に再度、診察を受けると全治3カ月。春絶望かと思われたが、奇跡的な回復力で間に合わせた。しかし、開幕2カードを終え、第5週を控えた空き週のオープン戦で右手中指第一関節を骨折。残り8試合を欠場し、主将としての影響力の大きさにより25人の登録メンバーからは外れず、ベンチで鼓舞した。 秋の完全復活に向けて調整する中で6月下旬、野球部のオフ期間を利用して3日間、広島に帰省した。過去3年にはない動きであり、心身をリフレッシュできた。母校・広陵高の中井哲之監督へあいさつに出向いただけでなく、後輩たちと一緒に汗を流したという。 「中井先生にはケガの期間中にも連絡をさせてもらい『今できることを』との言葉を胸に、次に向けたトレーニングをしていました。広陵の空気を吸って、高校在学当時の気持ちを思い出せたのは良かったです」 自宅では父・伸吉さんが小学3年時に作ってくれた、打撃ケージで汗を流した。 「父が昼間に仕事に行っている間、一人で、置きティーをしました。ここがなければ、今はない。小、中学校時代を思い出し、良い時間を過ごすことができました」 家族への感謝の思いが、改めて芽生えた。 「自分は何の不自由もなく野球をやらせてもらっていますし、自分が野球を続けていく上で、両親がいろいろなことを犠牲にして、自分のために時間を費やしてくれた。この秋、明治のユニフォームを着てプレーするのは最後なので、良い姿を見せたいと思います」