「私が絶対に食べないものと毎日飲むもの」米寿の現役医師が「健康長寿の極意」を語る
「心のときめき」を忘れない
もう一つ大切にしているのが「心のときめき」です。 ときめきで外せないのが女性でしょう。実は60歳を過ぎてから、急に女好きになりましてね(笑)。 若い頃は医学部で勉強漬け。卒業後も仕事ばかりの人生を歩んできました。72歳で妻を亡くしたのですが、性欲は昔よりあるかもしれません。 かといって、直接身体を触ったりはしませんよ。せいぜいハグする程度のことです。憎からず思っている相手と、ときには二人で酒を飲む。そんなワクワクが人生には必要なのです。 私は自分の病院を建てた'82年に巨額の借金をしました。それはいまだに返し終わっていません。きっと死ぬまでこの病院からは離れられないでしょうね。死ぬのもこの病院だろうと思います。 私の「理想の死に方」というのは、こんなシーンです。 院内の廊下を歩いていると、急に具合が悪くなりよろける。すると、私の前を歩く美人看護師が、異変に気が付いて振り向き、倒れ掛かった私を全身で受け止める。「先生!大丈夫ですかっ!?」と必死に声をかける看護師の両腕に包まれながら、胸の谷間に顔をうずめて帰らぬ人となる……。そんな死に方がいいな、と思うのです。
脳梗塞にならないために
理想の最後の一日のためにも、生涯現役の医師でいる―そう心に決めている帯津氏が、もっとも恐れていることがある。それは、脳の血管が突然詰まって、全身に障害をもたらす、脳梗塞になることだ。 20年以上前のことになりますが、友人の医師が脳梗塞で倒れたことがあります。右半身不随になって、うまく話すことも、飲み込むこともできなくなった。それを見て「脳梗塞にだけはなりたくない。脳梗塞になると自由に歩けず、診療できないではないか」と思ったのです。 そこで大和薬品が販売している「エヌケイシーピー」というサプリを、20年近く毎朝飲んでいます。これは、納豆菌から得られる成分によって血液の凝固を抑え、さらに血液粘度も低下させるというものです。 90歳近くになると「ラクナ梗塞」という、脳の細い血管が詰まって起こる脳梗塞の一種が2~3ヵ所見つかることがよくあります。 しかし、この前、脳のCTスキャンを撮ったところ、私の脳にはそれは1つもなかった。担当の脳外科医も心底驚いていましたよ。 私は「人生の幸せは後半にあり」と考えています。老いに対して抵抗すると苦しくなります。しかし、私にとっての「酒と女」のように、自分の欲望に正直に生きる。そうやって、一日一日を楽しく過ごすことこそが、健康長寿の極意ではないでしょうか。 「週刊現代」2024年10月26日・11月2日合併号より
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