稲盛和夫も実践、「好きな仕事」を見つけた人が絶対にやらないこと
当たり前のことですが、仕事をするということは対価として給料をもらうわけですから、最初から、面白く、楽しいはずはありません。 稲盛さんは「働くことはつらいこと。でも、それに打ち込んでみると必ず成果が表れて、仕事に惚れることができる」と語り、「周りからかわいそうだと思われるような状況でも明るく前向きに一生懸命取り組む。そうすれば結果として人間的にも成長できる」と教えています。 ですから、稲盛さんは「何もしないうちから面白いかどうかを決めるのではなくて、まずは本気で仕事に打ち込んでみてはどうか」とアドバイスしているのです。すると、仕事の面白さが分かってきて、好きな仕事に変わっていく。そうであれば「青い鳥」を求めて転職を繰り返すより、今ある「仕事を好きになる努力」をするほうが合理的だというわけです。 ● きつい、汚い、危険の3K仕事も 考え方を変えれば意義のある仕事になる このように、目の前にある「仕事を好きになる努力」が不可欠になるのですが、その思いを持ち続けるために必要なことは、稲盛さんがそうであったように、自分の仕事の意義や価値を見出すことです。「世の中に不要なものは何もない。すべてに価値がある」と稲盛さんが教えているように、どんな仕事にも素晴らしい意義や価値があるはずであり、それに気付くことが大切になるのです。
稲盛さんが松風工業で自分の専門外のセラミックの研究開発に熱意を持って打ち込み続けることができたのは、そこに大きな意義や価値を見出したこともあります。稲盛さんが開発したのはテレビを構成する多くの部品の中でも安価で小さな絶縁部品でした。他の会社の技術者は、その意義や価値を見出せず、結果として関心を持てなかったので、開発は進んでいませんでした。 しかし、稲盛さんはそこに「日本のエレクトロニクス産業の発展に貢献できる」という大きな意義を見出し、高いモチベーションを維持することができたのです。「どんな仕事にも社会的に大きな意義があり、尊い価値がある」と稲盛さんは話しています。それを見出せるかどうかで、仕事に取り組む姿勢は大きく変わってくるのです。 以前、小さな塗装業を営んでいる経営者が「塗装業は、きつい、汚い、危険の3Kの仕事なので、社員のモチベーションが上がらないばかりか、すぐに辞めてしまって困っています。どうしたらいいでしょうか?」と稲盛さんに質問したことがあります。 それに対して稲盛さんは、こんなふうに答えています。