稲盛和夫も実践、「好きな仕事」を見つけた人が絶対にやらないこと
「あなた自身が塗装業の意義を分かってないのではないか。たとえば、15年で錆びてしまう鉄橋があったとすれば、10年おきにペンキを塗り替えることで50年持つようになるかもしれない。その意味では、塗装業は地球環境に貢献できる社会的に大きな意義のある素晴らしい仕事ではないか。まずあなた自身が自分の仕事の意義を見出し、それを誇りに思い、社員に伝えなければいけない」 私はそれを聞いて感銘を受けました。稲盛さんが言うように、世の中に意義のない仕事があるはずはありません。必ず、何かしら社会に役立っているはずです。その意義を見つけること、そして、上司はその意義を部下に伝えることが重要なのです。 ● 「好きな仕事がしたい」を深堀りすると じつは弱い自分に逃げているだけではないか 稲盛さんはこうも伝えています。 「努力を続けることは苦痛を伴うかもしれないが、努力の大切さ、意義を教えることで、その成果に喜びが生まれる」 それでも、どうしても今の仕事が好きになれないというときは、その理由を自問自答したらいいのではないでしょうか。自分の心の奥底を覗いてみると、「もっと楽な仕事があるはずだ」とか、「なんのために働いているのか分からない」といった答えが見つかるかもしれません。それを冷静な目で分析し、「なぜそう思うのだろう」と少し深く考えてみると、結局は、仕事の意義も価値も分からないまま、単にそこから逃げようとしているだけかもしれせん。
パワハラやセクハラが横行するような職場は別ですが、そこから逃げたいというような動機で転職するより、今の仕事を好きになる努力をし、意義を見出し、本気で真剣に取り組んでみたらどうでしょうか。 稲盛さんは、「自分こそが自分の人生の作り手です」と教えています。たった1回しかない貴重な人生です。しかも、自分の心は自分のものであり、自分でしか変えられません。今の仕事を好きになれるかどうかは、自分次第なのです。 そして、間違いなく自分が「人生というドラマの主人公」なのですから、自分で主体的に仕事を好きになる努力をし、その意義や価値を見出すべきなのです。 そうすれば、稲盛さんが「仕事に惚れる、仕事が好きになる、だから打ち込むことも続けることもできる」と教えているように、仕事が面白くなり、自然と本気で頑張ろうと思うようになります。すると成果も出て、周りの人から喜ばれ評価されるようになり、さらに仕事が面白くなるという好循環が始まるのです。
大田嘉仁