ブラック職場と化す教育現場…それでも私たちが「教師」であり続けるワケ【現役教師の証言】 #令和に働く
教師の長時間労働…最近は「早く帰れ」と言われることも
教師になるまでの思いには差があった白石さんと福井さんですが、実際に教師になってツラいと感じたのは、やはりというべきか、長時間に及ぶ労働。 白石「聞いていた通り、労働時間は長いですね。定時は16時45分なんですが、お子さんのいる先生以外は、ほとんど帰りません。長時間労働に慣れ切っているという側面もあると思いますが、そもそも定時までに仕事が終わるわけがありませんし、もちろん残業代も出ません」 公立学校教師にも労働基準法は適用されていますが、給特法という特別法が適用され、時間外勤務手当などの一部を適用除外としています。その代わり、月給の4%が教職調整額として加算されています。 福井「休憩が取れないのもツラいです。一応、子どもたちが帰った後に休憩時間はあるのですが、そんなタイミングでホッとひと息なんてついていられません。よく『休み時間や給食の時間に休んでいるのだからいいじゃない』などと言われることがありますが、それは大きな誤解です。それらの時間も指導の時間であって、休んでいるわけではないんです。朝からぶっ通しで働いているから、体力的に本当に厳しいです」 つい最近まで、公立学校における労務管理は出勤簿にハンコを押すだけというアナログな方法が一般的でしたが、ここ数年でほとんどの自治体でICカードなどによる管理が導入されました。長時間労働に対しても厳しい見方がされるようになっています。 白石「最近は早く帰りなさいと促されることもよくありますね」 教師の意識も少しずつ変わっているようです。
事務作業に追われる教師…授業以外の仕事が多すぎる!
しかし、教師の仕事が減っているわけではありません。 白石「本当であれば子どもたちが帰った後は次の日の授業準備に時間を割きたいところですが、行事の準備や備品の管理など、授業以外の事務作業が多く、普段はそればかりに追われています。指導については後回しで、何の準備もできていない状態で授業に臨むことも……正直、あります」 福井「もっと『子どもたちに教えること』に全力を注ぐべきなのにできないんです。ろくに準備もせずにヒドイ授業をしてしまう……自己嫌悪の連続です」 教師の仕事は、子どもたちに勉強等を教えること、つまり「授業」が中心であり、そのための準備や振り返りは必須です。しかし、運動会や遠足などの行事の準備や、給食費や教材費などの会計業務、学校の備品管理などの管理業務など、学校運営に関わる仕事である「校務」は多岐に渡り、その量も膨大です。また地域のお祭りの巡回など、業務は学校外に及ぶものもあります。教師の仕事をサポートする事務作業員などが配置されている学校もありますが、教師の負担軽減になっているかというと疑問符が付きます。 また前述の通り、教師の本務は授業であり、そのための教材研究や授業研究などの自己研鑽は必須です。たとえば東京都の公立小学校の教師であれば、東京都小学校国語教育研究会」といったような、何らかの研究会に所属することが求められますが、「研究会の準備で大変な先生もいます」と白石さん。質の高い授業をするための自己研鑽の機会が大きな負担になっているのは、やはり本務以外の業務が多すぎるからでしょうか。このような部分も含め、教師の仕事について議論していく必要がありそうです。