暑さを逃れて辿り着きたい展示4選。
空間と作品 @アーティゾン美術館
美術館の展示室に整然と並ぶ美術品たち。それらの作品の出自を振り返ってみると、最初から美術館のために制作されたわけじゃなく、邸宅の建具として作られたり、プライベートな部屋を飾るために描かれたりと、作品を所有する人との関係によって生み出されていることがしばしば。展示室にたどり着くまでに、長い長い時を何人もの手を渡って受け継がれてきたものだってある。本展はそんな「美術品が在ったその時々の場を想像し、体感する」ことにフォーカスし、モネ、セザンヌ、岸田劉生、琳派などなど充実の石橋財団コレクション144点を紹介。美術品がどのような状況で生まれ、どのように継承されたか、趣向を凝らした展示空間でイメージを膨らませることができる。作品そのものだけじゃなく、美術館の役割や美術品のあり方についてまで考えを巡らせてみたい。QRコードで読み込める学芸資料や、アプリで聴ける無料の音声ガイドなどが利用できるため、家にスマホとイヤフォンを忘れないように! さーて8月はどんな展示に行こうかな。
インフォメーション
『空間と作品』 会場:アーティゾン美術館 会期:2024年7月27日(土)~10月14日(月祝) 時間:10:00~18:00(※毎週金曜は20:00まで。入館は閉館の30分前まで) 料金:ウェブ予約チケット1,200円(窓口販売1,500円)、大・専・高校生はウェブ予約で無料、中学生以下/障がい者手帳をお持ちの方と付き添いの方1名は予約不要で無料※予約枠に空きがあれば、美術館窓口でもチケットを販売。 休み:月曜日(8月12日、9月16日、9月23日、10月14日は開館)、8月13日、9月17日、9月24日
メディウムとディメンション:Maze @GASBON METABOLISM
「Maze=迷路」をテーマに9つの展覧会を同時開催するちょっぴり変わった展覧会。久保田荻須智広、うしお、玉山拓郎、鹿野震一郎、豊嶋康子、長田奈緒、磯谷博史、髙田安規子・政子らによる9つの展覧会が1つの会場で開催。それぞれに特異性はもちつつも、それ以外の8つの展覧会と時間と空間を共有することで重なり合う。要するに、一度で九度おいしい展示ともいえそうだ。会場となる「GASBON METABOLISM」は、山梨県北杜市の巨大工場跡地をリノベーションしたギャラリー、展示スペース、制作スタジオ、アーティスト・イン・レジデンス、作品倉庫などの機能を多目的に展開する施設。用途の多様さがもはや「迷路」級だが、そんな場所で、いくつもの空間や境界が折り重なった複雑さを受け取り、刺激を受けに行ってみよう!