「100均」セリアは女性管理職が50%超 社長肝いりのデータ化がもたらした働きやすさとは? #令和に働く
──それでも、これだけ女性社員が増えたのには何か理由が考えられるのではないでしょうか。 やるべき業務の進め方は変えました。特に商品の発注です。以前男性社員が多かった頃、商品発注は店舗ごとに自己判断でやっていた。一方、当時の女性社員にとって、会社の利益に関わる判断を背負うのは責任が重く、ストレスだという声があった。そんななか、2006年に自社で開発した「発注支援システム」を全店に導入しました。これは、各店舗から送られるPOS(販売時点情報管理)データを基に、独自のアルゴリズム(分析手法)で商品の売れ行きを予測するシステムです。それからはシステムが自動的に提示してくるデータに従って商品の発注をすればよくなった。そうしたら責任の負担が減って、女性社員が増えていった。そういう感触はありますね。 ──自動化したことで女性が働きやすくなったと。 そうです。いまでは商品のチェックだけでなく、日々の業務内容も、朝出勤するとシステムに表示されるようになっているので、それを実行すればいい。さらに、システム上の改善で人間的な摩擦も和らげられるようになりました。
──どういうことですか。 私は職場における「嫁姑問題」と言っていますが、パートの従業員が嫌がるのは「人に教えてもらうこと」。仕事を教わる相手が自分よりもずっと年上だったり、あまり仕事ができなさそうな人だったりしたら、気を使うんです。こういう人間関係によって職場は疲れてしまう。だったら、基本的な業務内容をわかりやすく説明する業務ガイドのページをつくり、それを各自見てもらうようにすれば、職場に摩擦が起こらなくなると考えた。実際、導入したら、そうしたトラブルも減っていきました。
「100均」業界にうまくハマったデータ化の貫徹
「ただ現場を見ているだけではダメ」だと語る河合社長は、セリア躍進の秘訣(ひけつ)は前述の「発注支援システム」にあると力を込める。このシステムでは、発注支援状況、店舗採算など「データ活用」に関する34項目のほか、「採用・人事・給与」に関する8項目など、さまざまな項目が数値化されている。市販のソフトではなく、すべて自社エンジニアの開発によるシステムであり、そのアイデアのほとんどは河合社長自身が考えたものだという。