「100均」セリアは女性管理職が50%超 社長肝いりのデータ化がもたらした働きやすさとは? #令和に働く
──昨今はSNSなどで商品を紹介して盛り上げる手法もありますね。 インフルエンサーの方がうちの商品を発信してくれて、その方のフォロワーの方々が買ってくれるという現象は「趣味嗜好が似ている方たちの生態系の中で起こるバズり方」なので、それもある種、「自然な現象」と捉えます。けれども、セリアとしては個別商品の宣伝はしません。というのも、我々が宣伝をすると、我々の意思が入ってしまい、商品の売れ行きの動きがいびつになるからです。広告にはコストもかかりますし、我々はバイアスのないデータを通して世の中のニーズと対話しています。 ──オフィス街にある店もあれば、郊外の大型店もあります。店舗ごとに立地や売り場面積も違い、売れる商品も違うはずですが、そのアルゴリズム調整は誰がするのですか。 店ごとの売り上げデータの補正のジャッジも「会社の戦略」。売れる・売れないは、店長のせいにはしません。とどのつまり「私のせい」。だから私がシステムに分析をかけて、アルゴリズムも書きます。一方で、労務管理は店舗ごとに責任を振り分けています。スタッフの働きぶりも限りなく数値化して、見える化を徹底しています。
──社長だけが見られるのではなく、すべての社員がその働きぶりを見ることができるのですか。 そうですね。各店舗の人手が足りているか、陳列が遅いのか速いのか、今日やるべきタスクもすべてシステム画面に表示されます。それらができていない店舗は、色分けして一目でわかるようにしてあります。働きぶりを自分でチェックできるし、上司に「仕事が遅いんじゃないか」と雰囲気で怒られるよりも、透明性は高いと思うんですよ。 ──システムによって透明性を高くすることで職場も働きやすくなるということですか。 私の場合は「ここまではしていいよ」と外枠の区切りを明確にしたら、その範囲内でスタッフに自由に泳いでもらうスタイル。経営も働き方も、シンプルで明快なのが一番だと思っているんです。
----------- 古川雅子(ふるかわ・まさこ) ジャーナリスト。栃木県出身。上智大学文学部卒業。「AERA」のスタッフライターを経て独立。同誌の人物ルポ「現代の肖像」に執筆多数。「いのち」に向き合う人々をテーマとし、著書に『「気づき」のがん患者学』(NHK出版新書)など。2024年、Yahoo!ニュースオリジナル特集「経口中絶薬に関する3回連載」で「科学ジャーナリスト賞2024」優秀賞受賞