新規外国人入国禁止で12月のBOX3大世界戦はどうなる?井上尚弥セーフも村田対ゴロフキン、井岡対アンカハス戦は難しい?!
井岡対アンカハス戦のチケットは、まだ発売されていないが、アンカハスもまた「オミクロン株」の感染者が確認されていない調整先の米国から来日する予定で滞在ホテルのワンフロアを確保するなど来日後の万全な感染予防対策が準備されている。 今回の突然の入国禁止措置の発表を受けて、日本ボクシングコミッション(JBC)及び、村田、井岡の両陣営は対応に追われ、スポーツ庁への問い合わせなどを行ったが、まだ詳細な情報が明らかになっておらず、入国の特例が認められる可能性があるかどうかもわからなかったという。 井岡陣営の関係者も、「まだ何もわからない状況。関係各所から情報を集めているが、原則入国禁止とされている原則がどこまで適用されるのか」と、情報収集と関係各所との調整にてんてこ舞いの様子だった。 井上の防衛戦は「ひかりTV」と「ABEMA」で有料配信され、村田対ゴロフキンの世紀の一戦も、海外はDAZN、国内はAmazonプライムビデオでサブスクリプションの形で有料配信されるが、井岡対アンカハスの統一戦は、12月の3大世界戦の中で唯一TBS系の地上波で生中継されるため、番組編成上、延期か中止を早急に決定しなければならないという事情もある。 新型コロナウイルスの急激な感染拡大の中で開催された東京五輪の際には、大会の公益性が優先し世論の反対の中無観客で強行された。その後、感染状況が落ち着き、関係各所の規制が緩和されて、井岡は9月にフランシスコ・ロドリゲス・ジュニア(メキシコ)を海外から迎え入れて無観客で防衛戦を行った。この際も水面下でスポーツ庁との度重なる協議が行われ、最終的にはボクシングの世界戦の公益性と、厳しい感染予防対策が評価されて開催にこぎつけたという背景があった。 ボクシング関係者が注視しているのは、12月9日から大阪で行われるフィギュアのGPファイナルの動向だ。北京五輪の代表選考を兼ねた公益性の高い大会で、世界王者のネイサン・チェン(米国)や、女子の世界最高得点を連発しているロシアの15歳の新鋭カミラ・ワリエワらの特例の来日が認められるかどうかが、今後のひとつの指針になるのではないかという見方をしている。 もうひとつの一縷の望みは、「当面1か月」とされている入国禁止期間の短縮だ。可能性としてはかなり低いが、まだ解析が進んでいない「オミクロン株」の実態が判明し、ワクチンの有効性などが明らかになり、奇跡的に入国禁止期間が短縮された場合、ギリギリ間に合う準備はされている。 だが、ビジネス目的だけでなく留学のための入国さえも禁止される現状を見ると、見通しとしては、かなり厳しく、スポーツ庁の判断を待って、今週中には決断が下されるだろう。 日本ボクシング史に残るビッグマッチを約2年間待った村田、悲願の統一戦をやっと実現した井岡の気持ちを察するに、とても忍びない。「仕方がない」の一言で片づけられるほど軽い問題ではないのだが、人命は何よりも優先される。せめて中止ではなく延期となることを願うしかない。両陣営の関係者は、今日30日にもスポーツ庁と緊急協議を行う予定だ。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)