部屋に響いた長女の悲鳴──山田ルイ53世、娘に“正体”を明かした一世一代の「ルネッサンス」
検索に及んだのが3年生の頃だという長女に、(どうりで……)と合点がいったのは、ここ1年ほど、「パパって、ひげだんしゃくっていうの?」という質問攻めが、パッタリ鳴りを潜めていたからだ。 映画「トゥルーマン・ショー」よろしく、わが子をウソの世界に閉じ込めて、厳しい現実から守ってきたつもりが実際は逆。「パパの正体は把握済み」という真相をおくびにも出さず、隠しおおせていたのは娘のほうで、庇護下にあったのは筆者……とんだピエロである。 「99%は“ひげだんしゃく”だと思ってたけど、もしかしたら間違えてるかもしれないって。これからは100%!」と長女はすっかり元気を取り戻した模様。 (俺の一世一代のカミングアウト、“1%”かい!)とため息が出る。これではもう「告白」というより「自白」。宅配便に受け取りのサインをするのと変わらない。 そこへ、「あとさー……」と最後の小包が届いた。 「1度だけ、○○ちゃん(娘の親友)に、『絶対誰にも言わないでね?』って(釘を刺した上で)、『もしかしたらだけど、アタシのパパ、テレビに出てるかもしれない』って言ったことがある……」 (えぇぇぇぇぇーーーーー!) ……衝撃の事実、シーズン2である。
越えられない“壁”、持っていない“カギ”
幸いお友達は、「そうなのー?」と大して興味を示さなかったらしく、事なきを得たようだが、「おまえのとーちゃん、一発屋ー!」という最悪のシナリオが “実写化”されていた可能性に背筋が凍る。 もちろん、娘に四の五の言うのはお門違い。家族の問題を、他人様に相談するしかない状況を生み出したのは、紛れもなく筆者の責任だ。(さぞかし心細かったのだろう……)と申し訳ない気持ちでいっぱいだが、「だって、パパがテレビに出てるって、すごいことだからさー!」とハシャいでいるのを見ると、ただ自慢したかっただけかもしれぬ。 それよりも引っ掛かったのは、“パパがテレビに出てるって”の一節である。 (……出てないよ)と居心地が悪くなった筆者の、「もっといっぱいテレビに出てるほうが良かった?」というみっともない一言に、「そんなことはないけど、『新しいカギ』と『有吉の壁』には出てほしい!」と屈託のないおねだり。(その壁は越えられないし、パパは新しくもない。カギも持ってないんだよ……)と返答に窮してしまった。 夫の苦境を見かねてか、「あなたが生まれる前、スゴい(テレビに)出てたよ? もう毎日、どのチャンネルつけても……」と妻からの援護射撃。いや、ありがたいが、ちと大げさでバツが悪い。