全英女子OP連覇に挑む渋野日向子は不安材料を打ち破れるのか?
とにかくバーディーがこなかった。渋野のバーディーなしラウンドは2018年1月にTP単年登録し、ツアープロとしてのデビュー戦となった同年6月の国内ツアー「アース・モンダミンカップ」の第2ラウンド以来、プロ2度目。国内外ツアー合わせて実に35試合、111.5ラウンドぶりの屈辱だった。 昨年の国内ツアーでは31試合(100.5ラウンド)で402個のバーディーを量産した。1試合の平均バーディー数はトップの4.00。穴井詩の424個と並んで史上初めて年間400超えを達成した爆発力は、すっかり影を潜めた。 「全英」に不安が募る。 渡英前には「去年とは違う、少しは成長した今の自分を見せたい」と話していた渋野も、突き付けられた現実に危機感を抱いていた。 「この2日間はひどすぎた。これまではなかったプレッシャーを感じている。ディフェンディング(チャンピオン)なのにヤバいなぁ…と」 20日から始まる本番の舞台は男子の「全英オープン」をこれまで9度開催した名門コースで、難度はさらに上がる。全英史上最も難しいパー4といわれる11番、距離は114ヤードと短いが切手のように小さいグリーンが多くのトッププレーヤーを苦しめてきた名物ホールの8番など難攻不落のホールが待ち受ける。 初のリンクスで渋野が苦しんだ原因は明白だ。昨年から課題とし、重点的に取り組んできたはずのグリーン周りのアプローチでスコアを落とし続けた。 第2ラウンドの15番パー4でのまさに弱点を露呈した形のダブルボギーに、渋野は「3打目の30ヤードほどのアプローチはガツンと打ってグリーンの奥にこぼし、次の10ヤードくらいを今度はトップ。5メートルのボギーパットが入りませんでした」と苦笑するしかなかった。 ショットの精度を高めてパーオン率を上げれば、アプローチの場面は自ずと減る。だが、「グリーンが硬く、直接オンしたらボールが止まらない。スピンを効かせられない」と嘆くようにリンクスでは必然的にアプローチの回数が増えてくる。 発展途上の渋野にとっては、誰よりも自分がわかっている弱さを克服しない限り、ロイヤルトゥルーンGCでもリンクスの洗礼を浴びることになる。
「練習しかない。今週はすごく打ったけど、いいところもあった。復習し、考えて、時間はあまりないけど修正したい」 全英女子も続けて無観客での開催。 「ギャラリーさんがいてくれると、いい意味で調子に乗れる。無観客を経験して、ギャラリーさんのありがたみを本当に感じた。でも、こんな成績で(日本の)みんなはどう思っているのかなと思っていたけど、夜遅い時間に応援してくれている人がいることがSNSでわかった」 キャディーを務める青木翔コーチと2人での英国遠征だが、決して2人きりではない。目指すはどん底からのV字回復。この経験を力にしたい。ギブアップするわけにはいかないのである。