続く新監督のパワハラ余波…J1アビスパ福岡は辛子明太子「ふくや」のスポンサー撤退をどう受け止めたのか?
パワーハラスメント歴のある金明輝新監督(43)が就任したアビスパ福岡が6日、福岡市内で新シーズンへ向けて始動した。午後には新体制の発表会見も行われ、長年務めたスポンサーからの撤退を電撃発表した、辛子明太子の製造・販売で有名な株式会社ふくや(本社・福岡市博多区)への受け止めが問われた。福岡の社外取締役も務める同社の川原武浩社長(53)が、新監督選定のプロセスが福岡の理念と相違しているなどと指摘した件に対して、金監督、そして福岡の川森敬史会長(59)はどう答えたのか. 【表】高校サッカーで記憶に刻むべき5人の逸材
金新監督は2つの不安を同居させながら、新生福岡の始動に臨んだ。 ひとつは福岡を率いる今シーズンで結果を出せなかった場合の不安。もうひとつは自身のキャリアが選手、そしてファン・サポーターに受け入れられるのかという不安。前者は監督ならば誰もがシーズン前に抱くものであり、対照的に後者はパワハラ歴で厳罰を科された経験をもつ金監督だけが感じていたものだった。 2月中旬に開幕する今シーズンに対しては、サガン鳥栖監督時代と同じく、思いきってやるしかないと自らに言い聞かせた。そして、まずは選手たちに対して、初練習をスタートさせる直前のミーティングであらためて思いを伝えた。 福岡の監督就任であらためてクローズアップされている、鳥栖監督時代のパワハラ行為にもたらされる不安を「払拭することはおそらくできない、と思っている」と位置づけた指揮官は、努めて前を向く姿勢に込めた意味をこう明かした。 「選手たちと初めて会ったので謝罪というか、世間を騒がせたなかでの就任で、選手たちを不安にさせて申し訳ないとあらためて伝えさせてもらいました。僕の就任によってさまざまなストレスがかかっていると重々理解しながらも、そのなかで僕がそんな振る舞いをしていたら、選手たちをより不安にさせてしまうと思っているので」 ファン・サポーターの思いは練習終了後の恒例となっている、フェンス越しのハイタッチを介して伝わってきた。福岡市内の練習拠点、雁の巣レクリエーションセンターに集まった約250人のファン・サポーターから「頑張ってほしい」や、あるいは「期待しています」と声をかけられた指揮官は、こんな言葉を残している。 「自分自身、そういった言葉を受ければ受けるほど心苦しいところもあるなかで、これからは日々の積み重ねで証明していくしかないとあらためて思いました。シーズンが始まれば結果の部分がフォーカスされていく世界なので、そこを求めながらも、アビスパ福岡が大切にしてきた部分をしっかりと継承していきたいと思っています」 昨年12月中旬の就任会見では明かさなかった具体的な目標を、J1リーグ戦で最高位となる6位よりも上位に定めた。11人の新加入選手を含めた31人の陣容で新体制をスタートさせたなかで、新監督の最有力候補として名前が報じられた昨年11月に福岡最大のサポーター団体、ウルトラオブリが緊急声明で監督人事の白紙撤回を求めた一件に端を発する、福岡を巡る前代未聞の騒動はまだ収まっていない。 昨年末には2007年から福岡の主要スポンサーを務め、昨シーズンにはユニフォームの左袖にロゴも掲出していたふくやが、1月31日をもって契約の新規更新を見送ると突然表明した。同社の公式X(旧ツイッター)では「諸般の事情」と記されていた理由を、同社の川原社長は大晦日に明らかにしている。 自身のnoteを更新した川原社長は、福岡でパワハラなどの事案が再発もしくは再燃した場合のレピュテーションリスク発生の可能性を排除できず、さらに新監督選定のプロセスが福岡の基本理念「子ども達に夢と感動を 地域に誇りと活力を」に相違していると指摘。そのうえで金監督のパワハラ歴に対してこんな思いを綴っている。
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