「毎朝1杯」のコーヒーが飲めなくなるかもしれない…じつは深刻な「コーヒーの2050年問題」をご存じですか
コーヒーの2050年問題
「コーヒーの2050年問題」をご存知だろうか。今後も気候変動が続くと、2050年までにコーヒー豆生産量の約6割を占めるアラビカ種の栽培適地が半減し、コーヒーを気軽に飲めなくなる日が来るかもしれないというのだ。この問題を国際的なコーヒーの研究機関「ワールド・コーヒー・リサーチ」(WCR)が2015年に提唱したことで、コーヒー関係者の間に徐々に広まっていった。 【写真】じつは深刻だった「コーヒーの2025年問題」 アラビカ種は、赤道をはさむ北緯と南緯25度の「コーヒーベルト」と呼ばれる一帯で栽培されている。中南米やアフリカに加え、ベトナムやインドネシアなどのアジアでも盛んに栽培が行なわれてきた。ところが、アラビカ種は暑さにも乾燥にも弱い、とてもデリケートな品種であることから気候変動の影響で、2050年までに栽培適地が半減する可能性が高いとWCRが警鐘を鳴らしている。
エチオピアで起きている変化
コーヒーの2050年問題に積極的に取り組んでいるキーコーヒーは、小規模生産者の支援を強化している。2024年4月に環境省から「令和6年度気候変動に脆弱な小規模コーヒー生産者の明るい未来提案業務」を受託。エチオピアの小規模コーヒー生産者の支援に関する調査と提案を行なっているのだが、その報告会が環境省主催で12月4日にキーコーヒーで開催された。 気候変動がエチオピアのコーヒーの生産にどんな影響を与えているのか。キーコーヒーの有永直子さんと藤井宏和さんが、現地調査した結果をレポートした。 まずは、有永さんが登壇。9月にエチオピア最大のコーヒー生産地、ジマエリアの生産組合を訪問した有永さんが、現地で聞いたコーヒー生産現場の近況を報告した。モカコーヒーの産地として知られるエチオピアでは2月に雨季がはじまり、コーヒーの花が開花。やがてコーヒーチェリーが実り、10月下旬から収穫してきた。 「ところが、今年は季節外れの乾期に雨が降ったことで開花期がずれ、7月から収穫が始まったそうです」(有永さん) 収穫したコーヒーチェリーの果肉を取り除いた後、豆を天日乾燥させる。今年は高温の日が増えたため豆が急激に乾燥してひびが入り、品質が低下しているというのだ。