自分の幸せを守りながら仕事で成功する「他者志向タイプ」のギバーを目指すには?
24カ国語以上で翻訳された大ベストセラー『GIVE & TAKE 「与える人」こそ成功する時代』(三笠書房)を監訳した楠木建さんに、ギブ・アンド・テイクにまつわるお話を伺いました。今回は、自分の幸せを守りながらギブする「他者志向タイプ」のギバーについて。 【画像】「テイカー」「ギバー」「マッチャー」を知ってコミュニケーションを円滑に
燃え尽きにくい「他者志向タイプ」のギバーとは?
──これまでのお話を伺っていると理想的な在り方に思えるギバーですが、最も成功する人と、最も成功しない人の両方がギバーであるという二極化の事実は衝撃的でした。 楠木さん ギバーには「自己犠牲タイプ」と「他者志向タイプ」の2種類があります。そもそもギバーは自分の利益より他人の利益を優先する傾向があるので、つい自分自身の幸せを犠牲にして人を助け、燃え尽きる危険をみずから高めてしまうリスクがあります。人は燃え尽きると、仕事のパフォーマンスが損なわれることもわかっています。一方、成功するギバーは、他者志向を持っているのが特徴です。 ⚫︎自己犠牲タイプのギバー ・自分の成功を犠牲にして、相手の利益に時間とエネルギーを割くことを優先した結果、そのツケ(パフォーマンス低下や燃え尽きなど)を払うことになる。 ・相手に求められるまま、そのつどギブする傾向がある。 ・他人に負担や迷惑をかけたがらない。支援を受けることに居心地の悪さを感じる。 ⚫︎他者志向タイプのギバー ・相手の利益のためにギブしながら、自分の利益も見失わない。 ・まとまった時間でギブする方法をとっている。 ・人に助けを求め、やる気や気力の維持に必要なアドバイスや協力を仰ぐ。 ・自分自身の幸せを守ることの大切さを理解している。 ──他者志向とはどういうことでしょう? 楠木さん 例えばチームで仕事をするときに、「特定の誰かのため」ではなく「みんなの幸せのため」に高い成果を出すことを目的に設定するということです。誰しも自分の時間や資源は有限ですから、ただギブするだけでは必然的に消耗してしまいます。 自己犠牲タイプのギバーは相手に求められるまま、そのつど与えるので疲弊しやすい傾向にあります。しかし、他者志向タイプのギバーは、「こんなことがあったらいいな」「こういうことをやってくれる人がいたらいいな」という動機でギブします。ある意味、自分のためにギブしている状態ともいえます。