「1ヶ月プラ使わず生活してみた」SNS動画で''面白い''を入り口に社会を知るきっかけを #豊かな未来を創る人
普段の暮らしに社会課題を知る入り口を
── RICEメディアを立ち上げた当時から現在のようなエンタメスタイルだったのですか。 立ち上げた頃、社会のことを心からどうでもいいと思っている人は少数で、みんな無関心なわけではなく、知らないだけなのではないかという仮説を持っていました。そこで、まずは知ってもらうことから始めるべく、忙しい日々の中でも1分間で社会を知ることができる動画の発信を始めました。 それで当時は報道的な動画を作って、Twitterで「リツイートの数に応じて植林をします!」みたいなやり方をしていたんですよ。でも全然伸びなくて、1万回再生されたら大喜びするくらいでした。最後まで動画を見た視聴完了率の割合も8%ほどで、この動画には価値がないのだと実感させられました。 そこで考えたのが、人が見たいと思えないものをインセンティブによって無理やり広げていくのではなく、本当に見たいと思える動画を作れば自然と広がっていくんじゃないかということだったんです。例えばアニメやドラマって、来週の話をみんな心待ちにしていて、放送日に「待ってました!」と言わんばかりに見るじゃないですか。それと同じくらい見たくなるような動画を作れないかと。 それで、純粋に自分自身の心が躍り見たいと思う動画を作ろうと決めて、それを表現したのが、今のRICEメディアのフォーマットだったんですよね。動画を変えてからは視聴完了率が40%、どのくらい動画が見続けられたかを示す視聴維持率は70%にまで上がりました。
── 沢山ある社会課題の中で、発信するテーマをどのように決めているのですか。 僕たちが実現したいことは、社会課題を知らない人への入口を作ることなんですね。ただ、社会課題といっても様々ある中で、人権問題や紛争など人の命がかかっているものには、見ているだけで苦しくなるようなニュースも沢山あるじゃないですか。もちろん、そうした情報を伝えることも必要だと思うのですが、みんながそれを入り口に社会課題に関心が持てるかというと、そうではないと思うんですね。 逆に言えば、僕たちの暮らしと直接繋がっていて、普段の生活の中にあるようなテーマだったら、気軽に見ることができて興味を持ちやすいのではないかと思うんです。例えば、普段口にしているチョコレートを入り口に原料であるカカオにまつわる労働問題を知ったり、使い捨てプラスチックを入り口にごみ問題を知ったり。暮らしと繋がっているからこそ自分にできることも連想しやすいので、日常の延長にあることを起点にテーマを決めています。 ── 報道とはまた違うメディアとしての役割や価値を持っているのですね。 従来のジャーナリズムやマスメディアも社会に必要な機能だと思うんですよ。一方で、それでは情報が届かない人がいるのも事実だと思っていて。その層にどう情報を届けていくかに挑戦している人はあまりいないと感じているので、そこを僕たちが担えたらいいなと思っています。