<小野正利>32年前、「You're the Only…」のミリオンヒットで人生激変 “同期”のミスチル、広瀬香美への思いも語る
ただ、一抹の不安もあった。
「売れるということに関しては達成されるかもしれないぞと思ったんですが、地固めができていないところで売れても、単発で終わるのではないかと。ヒットしたときは、うれしさ8割、不安2割でしたね。バラードで売れてバラードシンガーって言われてるから、バラードで押し切ればいいのかなと、そんなことを25歳でつらつら考えていたんです」
その不安などが言動に表れていたのか、当時は取材を受けたり、テレビに出演したりしても、「例えば『笑っていいとも!』に出たときにタモリさんに『あれ、小野君うれしくないの?』っていわれて、『いや、うれしいんですけど……』といった感じでした」と手放しで喜んでいたわけではなかった。
「同じ年にデビューしたミスチル(Mr.Children)は、じわじわと話題になっていったので、ああいう感じになれたらよかったなと思っていました。もちろん、もともとの才能もおありでしょうから一概には言えませんが、うらやましく見ていた時期はありましたね。あと、広瀬香美さんも同じ年のデビューで、のちに“冬の女王”として毎年ヒット曲を出し続けて、あれはあれで大変だったと思いますけれど、100万枚のヒットは確かに素晴らしいし、そうそう経験できることではないけれど、10万枚が10年続いた方がよかったな、と当時は思いました」
◇1992年の紅白に初出場 そうそうたる出場歌手との交流、めったにできない経験も
「You're the Only…」が大ヒットしたことで、レコード大賞最優秀新人賞をはじめ各賞を受賞、紅白歌合戦に初出場するなど、めったにできない経験ができたことも確かだ。
「ポップスのソロという活動をアマチュアのときはしていなかったので、レコード大賞とか紅白などの存在をほとんど意識してなかったんです。だから仕事帰りの新幹線の中で、当時のマネジャーに『紅白決まったから』って言われて、『はい?』って。『紅白ってありましたね。出るんですか』ってピンと来ていなかった」