“ラストラン”大迫傑が6位入賞も…なぜ日本男子マラソン勢はメダルに手が届かなかったのか?
服部勇馬(27、トヨタ自動車)は「入賞」を目指して、トップ集団で勝負したが、厳しすぎる結末が待っていた。 20km過ぎに集団から脱落すると、25kmで1分08秒差、30kmで4分18秒差と一気に引き離される。体調に“異変”があったのは明らかだった。「途中棄権」が何度も頭をよぎったというが、服部は脚を動かし続けた。 「これまで支えてくださった方や応援してくださる方が頭のなかで思い出されて、その気持ちがあったので最後までたどり着くことができました。これまで戦ってきたライバルや MGC でともに戦った選手たちの思いを踏みにじるようなことはしたくない。絶対に最後まで諦めずに走りたいと思いました」 両手に氷を持った服部はゴール直前で左太腿を押さえて立ち止まる。フラフラの状態だったが、2時間30分08秒の73位でゴールイン。日の丸を背負って、最後まで戦い抜いた。レース後は車イスで搬送されるほど体力は消耗していた。服部は深部体温が 40度以上に上昇した熱中症の重い症状だった。 2019年9月15日のマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)を制した中村匠吾(28、富士通)も苦しい戦いになった。故障や調整不足もあり、トップ集団でのレースを回避。5kmを15分34秒(66位)、10kmを31分34秒(72位)で進む。中間点は1時間7分42秒(75位)で折り返した。途中棄権者が続出した過酷なレースを最後まで走り抜き、2時間22分23秒の62位でレースを終えた。 「身体と相談しながら、自分のペースを守って走ることを考えました。でも、途中から思っていたよりも動かなくて、つらい42.195kmになりましたね。ここまでつらい日々でしたが、いろんな方の支えがあり、スタートラインに立つことができました。こんな結果ですけど、最後まで走り切れて良かったです」 中村はスタート前から厳しい戦いを予想していただけに、無事にゴールできた安堵感が強かったことだろう。