海外メディアは異例ずくめの東京五輪をどう評価したのか…「優しく寛大で忍耐強かった日本人」「指導者が安全・安心を裏切る」
新型コロナの感染拡大で史上初の1年延期となり、感染防止のためほとんどの種目で無観客となるなど、異例ずくめの東京五輪が8日、閉会した。開催前から新型コロナの感染拡大への懸念や開会式の担当者の過去のいじめ問題や人種差別につながる行為が発覚するなどの混乱もあった。海外の主要紙やメディアは、東京五輪をどのように評価、総括したのか。
「様々な要素が入り混じった舞台」
米国の五輪放送権を持つ米NBC系列のNBCニュースは次のように伝えた。 「東京五輪は新型コロナの影響で1年延期され、開催に懐疑的な一般の人々を落胆させたが、それでもドラマはあった」と書き出し、「前例のない新型コロナ対策の管理課題と日本国内の反対に直面した五輪だったが、スポーツの栄光に加えてアスリートのメンタルヘルスを巡る議論など様々な要素が入り混じった舞台でもあった」と振り返った。 注目のトピックスとして、米国のスーパースターである女子陸上のアリソン・フェリックスが400mで女子史上最多の10個目のメダルを獲得、女子競泳選手のケイティ・レデッキーが800m自由形で3連覇を果たし、男子競泳のケーレブ・ドレッセルや女子体操のスニーサ・リーらの新しいスターが誕生したことに加え、ベラルーシの女子陸上選手、クリスチナ・チマノウスカヤが帰国を拒否してポーランドに亡命した事件、リオ五輪で4つの金メダルを獲得していた米体操界の“スター”シモーネ・バイルズがメンタルヘルスの問題を抱えていたと明かし、いくつかの種目を棄権したこと、ドイツの女子体操チームが露出度の高いウェアを着ることに反対し「全身を覆うボディスーツ」で出場したことなどを挙げた。 また開幕前のドタバタについても改めてこう伝えた。 「わずか3週間前には東京大会は暗礁に乗り上げたかのように見えた。組織委員会の主要メンバーがスキャンダルで失脚し、世論調査では日本人の大多数が五輪開催に反対していた。五輪最大のスポンサーであるトヨタ自動車は、汚点を残すイベントと結びつかないように日本でのテレビ広告を中止。さらに選手から新型コロナの陽性反応が出たことの報道が相次ぎ、“安全・安心”を繰り返した日本の指導者の言葉を裏切る結果となった」 また、それらの逆風を押し切り、菅首相が開催を強行したことについても「日本の菅首相は、東京五輪の前夜に行われたNBCニュースのインタビューで国民に五輪を売り込むのに苦労したことを認めた。しかし、菅首相は『オリンピックは続ける』と話し、そして彼らはそれをやった」と、皮肉をこめて記した。ちなみにIOCは、菅首相と小池百合子都知事に「五輪功労章」を贈っている。