「バレンシアガ」超高層シルエットで上海のビル群を描く アジア初のショーは大雨と熱狂と「アンダーアーマー」と
マーケティングの側面だけでなく、上海の街を表現した“超高層シルエット”は、浦東というローカルのインスピレーションから生まれたものだ。デムナのブレないクリエイションはこれまで、社会に対する自身のアティチュードを発信し続けることでアップデートを繰り返してきた。裏を返せば、作り手のパーソナリティーから大きく逸脱することなく、ガラリと変わることもなかった。しかし今回のデスティネーションショーでは、地域の街や文化に目を向け、それらの刺激を取り込むことでコレクションを前進させている。上海で得た新鮮な刺激は、今後もアイデアの源泉の一つになっていくだろう。
開催地の上海ではショーの熱狂で共感を広げ、SNS上では奇天烈なアイテムで“バズ”を世界中に起こし、各地の店頭ではテクニックを親切に伝える。パワーとバズ、テクニックが三位一体となったクリエイティビティーの先にあるのは、クリストバル・バレンシアガとデムナのストーリーだ。ローカルショーの利点を最大限に生かしたクリエイションとビジネスに、新たな価値観を創造し続ける「バレンシアガ」とデムナのしたたかさを感じた。