2024年のスマホを総括 生成AIの浸透/カメラは完成形の域に/メーカーの勢力図に変化も
躍進したXiaomiとモトローラ、NothingやZTEも市場を開拓
メーカー別に見ると、2024年は、そのXiaomiが大きく存在感を伸ばした1年だった。調査会社MM総研が11月に公開した2024年度上期の出荷台数調査では、XiaomiがApple、シャープ、Google、サムスン電子に次ぐ5位につけており、ついに日本でも上位メーカーに名を連ねた。期間の区切り方によっては、より上位になることもあるようだ。調査会社Canalysが8月に公開した第2四半期の出荷台数調査では、AppleやGoogleに次いで3位の座を獲得した。 ミッドレンジモデルのコストパフォーマンスの高さが評価され、キャリアへの採用も進んだことがこうした結果の背景にある。出荷台数への直接的な貢献は限定的だが、先に挙げたXiaomi 14 Ultraのようなフラグシップモデルをしっかり投入できたこともブランド力の向上に一役買っている。直近では、ハイエンドモデルとそん色ない性能を持つXiaomi 14Tが、auとUQ mobileから5万7300円(税込み、以下同)で発売され、その価格の安さが衝撃を与えた。 日本市場で急速に存在感が高まったもう1つの海外メーカーが、モトローラだ。同社は、折りたたみスマホの「motorola razr 50」とそのソフトバンク版にあたる「motorola razr 50s」を9月に発売。アンバサダーにタレントの目黒蓮さんを起用し、知名度を一気に高めた。さらに同社の端末は、約18年ぶりにドコモにも採用され、「motorola razr 50d」として12月に発売された。縦折りスマホのバリエーションを武器に、キャリアでの採用が拡大している。 また、ミッドレンジ以上ハイエンドモデル未満ともいえるミッドハイの領域でも、「motorola edge 50 pro」を発売。こちらも、edgeシリーズで初めてソフトバンクに採用され、「motorola edge 50s pro」として発売された。もともと販売数の多かったローエンド寄りのgシリーズに加え、より単価の高いedgeシリーズやrazrシリーズをキャリアとのタッグで拡大していくのが同社の戦略だ。 この方針が当たり、同社の端末は販売台数が倍増のペースで伸びている。razr 50dの発表会で公開したデータでは、2022年度から2024年度で販売数が3.5倍に拡大していることが明かされた。2025年度は、さらにその2倍を目標に据える。外部調査でも同社のシェアは急増している。IDC JAPANが12月に公開したデータでは、モトローラと同じレノボ傘下になったFCNTとの合算で第3四半期にシェア4位まで浮上。2メーカー合わせての数値にはなるものの、Pixelシリーズが好調なGoogleを猛追する。 新興メーカーでは、Nothing Technologyが日本に拠点を設立し、マネージングディレクターに“Xperiaの父”としても知られる黒住吉郎氏を迎えたことも話題になった。Nothingは、4月にミッドレンジモデルの「Nothing Phone(2a)」を発売した。 同機はシリーズ初のおサイフケータイ対応モデルとなり、日本市場でも大きな話題を呼んだ。Nothing Phone(2a)には、歴代製品に使用されてきたカラーを用いた「Special Edition」や、同社のファンが集うコミュニティーからデザインを募った「Community Edition」などが加わり、限定で販売されたが、いずれも完売に。一部のユーザーから高い支持を得ていることを印象づけた。 ZTEも、nubiaブランドの海外展開を強化する一環として、日本のオープンマーケットに再参入を果たし、「nubia Flip 5G」と「nubia Iby」を発売した。中でも注目を集めたのは、フォルダブルながら本体価格を7万円台に抑えたnubia Flip 5G。同モデルはY!mobileからも「Libero Flip」として登場した。Y!mobile版はさらに価格を抑えており、本体価格は3万1680円。新規契約などに伴う割引を受けると、1万円を下回る。これはフォルダブルスマホとしては異例の安さで、同ジャンルが一般層に広がることを期待させた。 躍進したXiaomi、モトローラに、新顔ともいえるNothingやZTEのnubiaも目立った2024年だったが、年末には価格やコストパフォーマンスの高さを武器にしていたメーカーに厳しい法令改正もあった。12月26日に施行された新ガイドラインが、それだ。新要素として盛り込まれたのが、端末購入プログラムで下取りをする際の基準だ。新ガイドラインでは、リユースモバイル・ジャパン(RMJ)の公表する下取り価格の平均値に統一された。これにより、キャリア各社は一部モデルの残価の減額を余儀なくされた。 中でも影響が大きかったのは、Androidスマホだ。改正ガイドラインでは、リセールバリューの高さが残価に直結するため、どちらかといえば中古市場で人気の高いiPhoneが有利になる傾向がある。裏を返せば、これまでのAndroidの残価は“盛られすぎていた”というわけだ。2025年は、この制度改正がAndroidスマホの逆風になるおそれもある。キャリアの施策にも左右されるため、端末購入プログラムへの注目もさらに高まりそうだ。
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