世界の渡辺謙さんが語る 日本人の海外挑戦の共通課題
ハリウッド映画界など米国でも活躍中の俳優、渡辺謙氏(54)が18日(日本時間19日)、大リーグのレッドソックスの本拠地フェンウェイパークを訪れた。来年秋に全米で公開予定の新作映画「シー・オブ・ツリーズ(原題)」(日本語訳=樹海)に、アカデミー賞主演男優賞に輝いたマシュー・マコノヒーと共演する同氏は、先月下旬からボストン近郊の町ウスターで撮影を行ってきたが、休日を利用して念願のレッドソックス観戦が叶ったという。 阪神ファンでも知られる渡辺氏だが、この日は、レ軍のロゴ入り帽子を被って球場に姿をみせ、「アメリカンリーグではレッドソックスが好き。フェンウェイパークというのは、野球小僧としてはよだれが出るほど。何かこう意地張って(古い球場を)残しているのかなと思ったら、町並み自体が古いので違和感がない。来てみないと分からないものですね」という第一印象を語り、レ軍の守護神、上原浩治、田沢純一両投手を激励。がっちり握手を交わし雑談を楽しんだ。 住む世界は違えど渡辺氏と上原や多くの日本人メジャーリーガーには共通点がある。田沢は社会人野球から直接メジャー挑戦を試みたが、両者は、日本での成功を経た末に海を渡ってアメリカに拠点を移して活躍の場を求めた。「仕事は違うんですけど、ジレンマだったり、何か巧く行ったりした時の受け入れられ方とか、凄く分かりあえる部分があると思います。中米の選手に比べたら(日本人は)マイノリティー。その中で(レギュラーを)張っていくというのは、いい面、悪い面、両方を含めて共感できることがあると思いますね」。 まだまだ日本人進出の歴史は浅い大リーグとハリウッド。NPB(日本プロ野球)で育った選手がMLB(メジャーリーグ)で戦う中で野球や文化の違いなどへの適応力が求められるのと同様に、日本の映画界とハリウッドも、業界の文化や環境に大きな違いがある。まず、米国の映画界で仕事をするためには、英語で台詞を話さなければならない。監督や現場スタッフ、共演者ともコミュニケーションを計らなければならない。それは、監督、コーチ、チームメイトと日々戦っている日本人メジャーリーガーと似た境遇だ。 「まず、向かっていく先が違う。マーケットが違いますからね。自分の意思を100%伝えられない辛さもありましたけど、逆に日本では、そういう努力をして来なかったと気づかせてくれた。日本だと皆、分かってくれているものだと思っちゃう。こっちは異人種だったり、文化や考え方の違いがあったりする中で、全部今の気持ちや考えを伝えようとする。本当は日本でもやらなきゃいけない。人は皆、違うんだということを、気づかされました」。