世界の渡辺謙さんが語る 日本人の海外挑戦の共通課題
文化や環境への適応は不可欠とする一方で、役者として根幹の部分は、変えないことにこだわっていると渡辺氏は言う。「こっちの俳優が考えるようにやってしまったら、僕を呼ぶ意味がないじゃないですか。必然的にどこかは変わっているとは思います。でも、僕自身は変えようとは思わない。それは彼らも同じだと思う。滑るボールや球場の違いなど、テクニックとして変なきゃいけない部分はあるとは思いますけど、プレースタイルとかは変えなくていいんじゃないかと思いますね」。 1996年に野茂英雄氏がドジャースに入団して以来、大リーグの門戸が開き、海の向こうで活躍する日本人選手が増えた一方、渡辺氏は日本人の役者の海外進出の例が少ないことを指摘する。「だから、ちょっと僕は日本の映画界がガラパゴス化している感じがしますね。もっと広い視野を持ったり、色々な人と交流したりしないと、狭くなっていくという危惧がある」。 大リーグに日本人が進出したからこそ、日本人の野球に対する視野が広がり、学ぶべき部分や日本の野球の良さを再確認することも可能になった現状を踏まえた上での、現在の日本映画界への提言だった。