海外メディアは東京五輪の無観客開催をどう評価したか「正しい決断にホッ」「最新の挫折」「アスリートは失望」
東京五輪開幕を15日後に控えた8日、東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の橋本聖子会長(56)、東京都の小池百合子知事(68)、丸川珠代五輪相(50)、国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長(67)、国際パラリンピック委員会(IPC)のアンドリュー・パーソンズ会長(44)によるオンラインでの5者協議が行われ、東京都並びに千葉、神奈川、埼玉の会場で行われる開・閉会式及び競技のすべてを無観客で行うことで合意した。政府は、この日、増加傾向にある新型コロナウイルスの感染を抑え込むため、4度目となる「緊急事態宣言」を12日に発令することを決定。当初は「会場収容人数の50%以下、最大1万人まで」の有観客で行う方針だったが、「緊急事態宣言」下での有観客開催とした場合に起きる人流などによる感染リスクを考慮、国民の理解を得る大会にすることも含め無観客開催が決定した。 ただIOC委員などの複数の関係者は「観客ではない」(武藤事務総長)との見解で観戦を認める方針。どれくらいの人数になるかは明らかにされなかったが開会式には相当数の関係者が詰めかけると見られ、無観客決定との矛盾が残った。また宮城、福島、静岡では基準内での有観客で行われ、茨城は学校連携の観戦のみ認める方針。海外メディアは「無観客五輪」の決断をどう評価したのか? 米国で放映権を持つNBC局系列のCNBC局は、電子版で「すでに1年延期され、延期のための高額な費用が発生している夏季五輪にとって最新の挫折」と表現した。 IOCの収入は、このNBC局を筆頭とする巨額の放映権料の占める割合が大きいが、大会組織委員会は、約900億円のチケット収入をアテにしていた。CNBCでは、無観客による経済的な打撃についても「2016年のリオ大会では600万枚以上のチケットが売れ、12億ドル(約1300億円)の収入があった」と触れた。 五輪を放映する米NBC局では、この1年間に無観客で開催された各プロスポーツや、スポーツ大会での経験を活かす方向。昨年のメジャーリーグやNFLでの無観客の試合では、観客の歓声を人工音声で流すなどしており、これと類似する技術を使って、視聴者に無観客の違和感をそれほど与えずに放送できる方法を検討しているという。 米CNN局は、無観客の決定について「一部のアスリートにとっては大きな失望となりそうだ」と伝えた。その一方で、同局の電子版では、CNNの医療アナリストであるウェン博士の「パンデミックの現状や、これまでのワクチン接種率の低さを考えれば、まさに(無観客の決断は)正しいこと」という見解を掲載した。 ウェン博士は「この決断をしてくれて本当にホッとしている。大勢の人が集まったときに何が起こるのか心配だった。生涯をかけて努力してきたアスリートたちに、スーパー・スプレッダー・イベントのリスクなしに、競技をさせてあげて欲しい」と、無観客開催を評価した。