お手伝いはさせたほうがいい?おこづかいは渡す?「お手伝い」のギモンを教育評論家が解説
【■心理面のメリット】 <1.自己効力感が高まる> お手伝いをして家族に感謝されると、子どもは「自分は家族の役に立てたんだ」と自己効力感や達成感が得られます。 自己効力感や達成感を継続的に得ると、お子さまは幸福感を味わいやすくなるでしょう。 <2.奉仕の精神が身に付く> 子どもはもともと自分優先で生きているもの。 しかしお手伝いでは、家族のために、ちょっとした苦労もしながらがんばることになります。 その行動を通じて、「家族は、いつも自分のためにがんばってくれているんだな」と感謝を感じることができます。 そして、「自分も家族の役に立ちたい」と奉仕の精神が芽生えるのです。 就学前~小学生のうちに奉仕の精神を育てておくことで、将来前向きな気持ちで仕事に向かうことができるのではないでしょうか。 <3.家族間のコミュニケーションが増える> お子さまに手伝ってもらいながら一緒に作業すると、自然と話す機会も増えるでしょう。 そのくり返しが、家族間のコミュニケーションや絆を深めるのにも役立ちます。
みんなどんなお手伝いをしてもらっている?【体験談】
では、保護者のかたはお子さまにどんなお手伝いをしてもらっているのでしょうか? 小学生のお子さまがいる保護者のかた839名にアンケートを実施しました。
特に多かったお手伝い項目は、「配膳」54%、「調理の手伝い」38%、「風呂の掃除」31%、「部屋の掃除」28%、「洗濯物をたたむ・しまう」41%、「きょうだいの世話」31%などでした。 何をやらせたらいいか迷っているかたは、これらの項目の中からお子さまが興味を示すことやできそうなことをやってもらってもよいのではないでしょうか。 その他については、「ふとんを敷く」「靴をそろえる」「郵便物を運ぶ・仕分ける」「回覧板を回す」「テーブルを拭く」などの回答がありました。
お手伝いしてもらう時のポイント・保護者の心構え
お子さまにお手伝いをしてもらううえで、保護者のかたに知っておいてほしいことが一つあります。 それは、「手伝ってもらうのは子ども自身のため」ということです。 家事に慣れている大人と違って、子どもは一つのことをするのにも時間がかかります。 そんな時、「自分でやったほうが早いのに……」や「〇歳なんだからこれくらいできてほしい」という意識が保護者のかたにあった場合、思わずイライラしてしまうこともあるでしょう。 そうなるとお子さまも、「一生懸命やってるのに……」と自分を否定された気分になってしまうかもしれません。先ほどお伝えしたとおり、お手伝いはお子さまが成長するうえで非常に役立ちます。 「子どもの成長に役立てばいいな」というスタンスで、余裕を持って仕事を任せてください。 このスタンスを基本に、お手伝いをしてもらうにあたって保護者のかたが意識しておいてほしいことをいくつか挙げておきます。 【1.やってくれたことをしっかりほめる】 お手伝いをしてもらったら、しっかりお子さまをほめてあげましょう。 大人の目から見たら、できばえはまだまだかもしれませんが、お子さまなりにがんばった結果。 ほめられることでお子さまの自己効力感が育ちます。 【2.子どもが「やりたい」と言ったことをやってもらう】 子どもは好みも能力も個人差が大きいので、お手伝いの内容も向き不向きがあります。 保護者のかたが「この仕事は子どもの成長に役立ちそう」と思っても、お子さまにとっては気が進まないことかもしれません。 まずはお子さま本人が「やりたい」と言ったことを任せてみましょう。 一方で、やりたいことが「ちょっと早いかも」と思うこともあるでしょう。たとえば「小1で揚げ物をさせるのは危ないかも」といったケースです。その場合は、たとえば具材に衣を付ける作業を一緒にするなど、できるところまで一緒にやるなどして、お子さまが達成感を得られる機会を用意できるといいですね。 【3.うまくいかなくても見守るようにする】 お手伝いで作業をしているお子さまを見ていると、「そのやり方じゃなくてこうやればいいのに」「こうすればもっと早くできるのに」などアドバイスをしたくなるかもしれません。 ただ、保護者のかたはよかれと思っての助言でも、お子さまからすれば「自分を否定された」と思う可能性も。 モタモタしていても、助言を求められるまではできるだけ見守ってあげてください。