お手伝いはさせたほうがいい?おこづかいは渡す?「お手伝い」のギモンを教育評論家が解説
「子どもにお手伝いをさせるといろいろなメリットがあるって聞くけれど、どんなことをやってもらうのがベスト?」 「正直、自分でやったほうが早く終わるけれど、やっぱりさせたほうがいい?」 「お手伝いしてもらったら、おこづかいを渡すもの?」 などなど、お手伝いについて、疑問や迷いを感じる保護者のかたは多いでしょう。 そこで今回は、特に小学生のお子さまのお手伝いについて、教育評論家の親野智可等先生に、お手伝いのメリットや取り組ませる時のポイント、報酬としておこづかいを渡すかどうかについて解説していただきました。
子どもがお手伝いをするメリットとは?
お手伝いをさせることは、お子さまにとってさまざまなメリットがあると私は考えています。 「能力面のメリット」「心理面のメリット」という2つのカテゴリーに分けて説明していきましょう。 【■能力面のメリット】 <1.自己管理力が高まる> お手伝いを頼まれたお子さまは、ほかにやりたいことがあっても「自分がやらなきゃみんなが困るから」と自分を管理して取り組むことになります。 この積み重ねによって、学習・生活面でも「イヤだけど宿題しなくちゃ」「先に明日の準備しておこうかな」と自己管理ができるようになりやすいのです。 自己管理力だけでなく、もちろん責任感ややり遂げる力も高まると期待できます。 <2.問題解決力が身に付く> お子さまがお手伝いに取り組む中で、うまくいかないことがいろいろと出てくるはず。 その際、試行錯誤することで問題解決力や考える力が養われるのです。 こうした力が身に付けば、人生で困難にぶつかっても投げ出さずに取り組めるようになります。 つまりお手伝いは、いわゆる《生きる力》にもつながるのです。 <3.手先が器用になる> お手伝いで細かい作業を行うことで、手先の器用さが身に付きやすい面もあります。 手先が器用だと、学習面でも非常に役立ちます。 たとえば筆記用具で文字を書くにしても、定規やコンパスなどで図形を描くにしても、道具をうまく使いこなすことができれば、大きな自信になります。 <4.脳の働きが活性化する> お手伝いでは、手で食材などいろいろなものに触れたり、匂いをかいだり、目で見て変化を感じたりと、五感をフル活用することになります。 五感を使うことは脳にとって刺激になり、脳の活性化につながると考えられるのです。 <5.ワーキングメモリが鍛えられる> 家事をする時には、手順や段取りを考えたり、一時的に物事を記憶したりして、ワーキングメモリ(作業記憶)を駆使しながら作業を行います。 お手伝いを通じ、このワーキングメモリが鍛えられる可能性があります。 ワーキングメモリは、勉強はもちろん、生活にも役立ちます。 たとえば学校生活でも、「5時間目は体育だから、遊びを少し早めに切り上げて、着替えてトイレに行っておかなきゃ」といった感じで、先を見越して行動できるようになるのです。